日本人の好きな料理に、すき焼きがあります。
お正月など、大勢が集まる冬の定番料理と言ってもいいと思います。
今でこそ、肉をたくさん食べるようになりましたが、以前の日本では
仏教の影響などもあり、肉食は長い間、禁止されていました。
でも実態は、肉食禁止の御触書(おふれがき)を何度も出さなければ
ならないほど、厳密には守られてはいませんでした。
日本では、明治天皇が初めて肉を食べたことがきっかけとなり、明治
以降に肉食が広まったようです。
「すき焼き」の語源は、農作業に使う鋤(すき)の金属部分を焼いて
四足の動物の肉を食べることは基本、禁止さ
れていましたが、病人などの滋養食としては
認められていました。
和牛の中では「黒毛和種」が有名で、高級食材の一つになっています。
日本では「しゃぶしゃぶ」や「すき焼き」など、サシの入った薄切り
の牛肉が好まれますが、欧米では脂肪の少ない肉厚の赤み肉が好まれ
欧米人は、素材のおいしさを求める日本人と
違って、シェフの作るソースへのこだわりが
強いようです。
豚肉にしろ牛肉にしろ、肉のおいしさを決めるのは、「脂肪のおいしさ」です。
その脂肪をおいしくするには、小麦・大麦・大豆・トウモロコシなどの穀類を、
バランス良く与える必要があります。
また牛肉は、歩留まり等級・肉質等級(脂肪交雑・色沢など)により格付けされ、
同じ手間暇かけても、生産者の手取りには「差」が生じることになります。
そこで、肥育農家の間で行われるのがビタミンコントロールという手法で、
肥育期間にビタミンAを制限(又は全くやらない)し、ロース芯を大きくする
と同時に脂肪交雑(サシ)の割合を多くするものです。
と畜検査をしている時、栄養状態のいい牛に限って「鋸屑肝(きょしょうかん)」
という肝臓の疾病に罹っていることがよくありました。
鋸屑肝を発症する要因の一つが、ビタミンAの欠乏です。