エッセイ   動物たちの「熱きこころ」に魅せられて

(はじめに)
 人は昔から、動物たちとの違いを見つけることに熱心だった。
「こころを持っているのは人間だけだ」とか。
動物たちが見せる様々な行動は、こころの在りようとは無関係に、その種が長年に渡る進化と自然淘汰によって獲得した有利な遺伝子の支配によるものが多い。

 たとへば、セイヨウミツバチには、卵や幼虫の病気をいち早く見つけ、巣の外へ運び出す「衛生遺伝子」を持つ者がいて、病気の蔓延を防いでいる。
もちろん、遺伝子だけでは説明ができない、情緒的な行動を見せる動物もいる。そんな時、彼らの「こころ」には何が起きているのだろう。

 私は、動物公園勤務時代に、多くの動物たちの最期に立ち会ってきた。
人間なら、愛する家族の最期の想いを伝えることも可能だろうが、動物たちにはできない。そんな動物たちのこころを見つめ、 一人でも多くの人に、その心を伝えていくのが私の使命だ。

 動物のこころはを知ることは、人のこころを知ることであり、己のこころの在りようをしることでもあるのだから。
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