コウノトリの繁殖

今年6月13日、佐賀県白石町で子育てをしている国の特別天然記念物コウノトリ

ヒナ2羽に、九州では初めてとなる足輪が装着されました。

 

 

 

 

 

父親は徳島県の鳴門市生まれ、母親は兵庫県の豊岡市生まれで、今年3月に飛来

した番(つがい)とのこと。

当初、4羽のヒナがふ化したそうですが、2羽は行方不明となりました。

実はこの番は、昨年も飛来して3羽のヒナがふ化しましたが、3羽とも行方不明

になっています。

 

 

 

 

 

足輪は、巣立ち後の行動範囲や今後の繁殖状況を調べるためのもので、羽が伸び

きる前に装着されました。

現在、国内には約300羽のコウノトリが生息しています。

 

コウノトリは東アジアやロシア南東部に生息し、日本でも明治時代の初めまでは、

各地で繁殖していました。

江戸時代には、浅草の浅草寺(下写真)の大屋根でも繁殖していたとか。

 

 

 

 

 

コウノトリはトキ同様、ほ場整備や農薬の使用でエサとなる水生動物が減少した

こと、田んぼを荒らす害鳥として殺されたこと、松林の伐採などによる営巣場所

の減少などで、生息数を減らしていきました。

1971年、兵庫県に残っていた最後の1羽が捕獲され飼育下に入ったことで、野生の

コウノトリは絶滅しました。

現在では、兵庫県豊岡市にある「兵庫県立コウノトリの郷公園」(下写真)が

コウノトリの野生復帰の拠点施設となっています。

(コウノトリは、兵庫県の県鳥にもなっています)

 

 

 

 

 

またヨーロッパやアフリカ北部には、コウノトリとは別種のシュバシコウ(下写真)

が生息しています。

文字通り、朱色の嘴をしたコウノトリです。

 

 

 

 

 

ところで、コウノトリには赤ちゃんを運んでくるというイメージがありますが、

これには童話作家のアンデルセンが大きな影響を与えた?という説があります。

沼の王の娘」という話の中で、子どものいないバイキングの夫婦にコウノトリ

(シュバシコウ)が子どもを届けるというシーンがあるからです。

 

 

 

 

 

ドイツの逸話にも、同じようなものがあります。

ある時、子どもに恵まれない夫婦の家の煙突にシュバシコウが巣を作りました。

夫婦は、煙突につながる暖炉も使わずに、シュバシコウの子育てを見守ることに

しました。

すると、子育ての終わったシュバシコウを見送った直後、子どもを授かったと。

 

家の屋根や煙突などに巣を作るシュバシコウは、ネズミやヘビ、害虫なども食べる

益鳥で、ヨーロッパでは「幸せを呼ぶ鳥」とされています。

家族の幸せは、やはり次の世代が生まれることですから、シュバシコウ=赤ちゃん

が結びついたのでしょう。

他にも、シュバシコウの巣は落雷から家を守ってくれるという言い伝えもあります。

 

 

 

 

 

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