黄砂とは、東アジアの砂漠域(タクラマカン砂漠やゴビ砂漠など)から強風により
吹き上げられた多量の砂じんが上空の風によって運ばれ、浮遊しながら落下する
現象で、今年は全国的に観察されました。
日本には数万年前から飛んできていて、江戸時代の書物にも「つちふる」という
記録があるそうです。
日本では春に観測されることが多く、地表面の状態(植生や積雪の有無、土壌
の水分量など)や上空の風によって大きく左右されます。
中国でも黄砂対策として植林が行われているようですが、今年は、ここ10年で
最悪とのこと。
過去には、北米やグリーンランドにも運ばれた例もあるそうですから、上空の
風のパワーもすごいものです。
黄砂発生源の一つであるゴビ砂漠(下写真)は、中国北部からモンゴル南部に
位置する世界第4位の規模の砂漠で、ゴビとはモンゴル語で「草がまばらに生え
る砂地」という意味です。
ところでゴビ砂漠は全くの砂漠ではなく、幾つかの水脈もあることから森林や
丈の低い草木が生えている場所もあり、野生のフタコブラクダやアジアノロバ
(下写真)、モンゴルガゼルなども生息しています。
また、ゴビ砂漠で見つかる恐竜化石は変形が少なく、骨と骨が繋がった状態で
見つかることが多いため、恐竜の聖地とも言われています。
驚かれるかも知れませんが、ゴビ砂漠にはヒグマも生息しています。
ゴビヒグマ(下写真)です。
ヒグマの亜種の中では小型で、オスの体重も100kgくらいしかありません。
人間に生息地と食糧を奪われたため、主に砂漠で生活するようになったという
悲しい歴史もあります。
慢性的な食糧不足もあり、生息数は数十頭と推定されていますので、絶滅寸前
の動物です。
そのため給餌場所を増やしたり、妊娠中に栄養価の高い食物を与えるなどの対策
も考えられているようですが、(野生のプライド?か)人間が与えるものは食べ
ないそうです。
夏場は日中45℃以上、冬場は夜間-35℃にもなる過酷な環境で生き延びてきた
ゴビヒグマですから、何とか命をつないで欲しいものです。
ただ、これだけ数が減ってしまうと、近親交配による影響も少なくありません。