今年1月、アメリカのメリーランド大学は重い心臓病の男性患者(57歳)に、ブタの
心臓を移植したと発表しました。
移植用の心臓の確保が難しいこと、ブタの心臓サイズが人とほぼ同じで構造も似てい
ること、遺伝子操作によって拒絶反応を起こしにくい心臓を持つブタが使えること
などを理由として、手術に踏み切ったわけです。
もちろん、「このまま死ぬか移植を受けるか、私は生きたい」という患者の想いに
応えるものでもありました。
ただ患者の男性は弟を刺した罪で有罪判決を受けており、弟は半身不随となって
車イス生活を送った後、脳卒中で死亡しています。
男性の本心は分かりませんが、弟に対する罪の意識から少しでも医学の進歩につな
がれば、という想いもあったのかも知れません。
移植を受けた男性は、術後約2か月で亡くなっていますから、異種移植については
まだまだハードルは高そうです。
ブタの遺伝子を変える技術や免疫抑制剤の進歩に期待しましょう。
一方で、ブタからヒヒへの心臓や腎臓の移植も行われています。
心臓では2018年に195日以上、腎臓では2017年に260日以上の生存が確認されていま
すから、今後が楽しみです。
移植を希望する人たちは、日本国内だけでも約15,000人もいます。
しかし現状では、肝臓で約1年、心臓で約3年、腎臓では約15年もの待機期間が必要
になるそうですから、患者さんの心労もかなりのものです。
先月、東京都のAちゃん(1歳の女の子)のニュースを見ました。
生まれた直後に重い心臓病であることが分かり、心臓移植が唯一の助かる道である
とのこと。
円安の影響もあり、手術代も値上がりして5億3000万円もの大金が掛かるそうですが、
親御さんの気持ちを考えると、何とか間に合って欲しいものです。
数日前のニュースでは、5億円は集まったものの、他にも費用がかかるようです。
日本にも大金持ちはいるはずですが、今のところ彼らの声は聞こえてきません。
私が知らないだけかも知れませんが、、、。