馬をはじめ、ヒト以外の哺乳類では鼻でしか呼吸ができません。
ですから、ヒトに最も近いといわれるチンパンジーでさえ、口では呼吸ができません。
ヒト以外の哺乳類では口は食べる器官であり、鼻は呼吸するための器官なのです。
ところで馬にも、いろんな病気があります。
馬インフルエンザや破傷風、日本脳炎などの感染症は、一つのワクチン(下写真)で予防
することができます。
インフルエンザや日本脳炎はウイルス性の感染症、破傷風は細菌性の感染症になります。
ヒトや馬は、日本脳炎ウイルスに感受性が高いと言われていますが、多くは無症状のまま
経過する不顕性感染となります。
馬が発症すると高熱や神経症状、食欲廃絶、運動障害が見られるようになり、重症例では
起立不能や遊泳運動(下写真)などを起こして、死亡します。
現在のところ、治療法はありません。
感染症では他に、アブなどの吸血昆虫が媒介する馬伝染性貧血、妊娠中の馬が感染すると
流産することが多い馬鼻肺炎(うまびはいえん)などもあります。
なお、馬鼻肺炎にはワクチンがありますが、馬伝染性貧血にはワクチンがありませんので、
伝染性貧血に感染した馬は法令(家畜伝染病予防法)に基づき淘汰されることになります。
疝痛(せんつう)は馬特有の腹痛を伴う病気の総称で、軽度なものから命にかかわるもの
まで多くの種類があります。
馬は、食道が長い割には胃が小さく嘔吐しにくい動物です。
また、大腸の一部が体壁に固定されていないこと、巨大な盲腸があること、腸管に分布
する末梢神経が敏感であることなどから、疝痛を起こしやすいと考えられています。
過食や便秘、寄生虫、消化管にガスが異常発生した時などに発症します。
特に腸ねん転などの場合には、開腹手術(下写真)が必要になります。
蹄葉炎(ていようえん:下図)は、馬にとっては重大な病気の一つです。
発生メカニズムは一つではなく、消化管の障害や感染症により作られた微生物の毒素の他、
骨折など、蹄の中の血液循環が悪くなった時に発症します。
それに伴い、組織が壊死して激しい痛みを伴うため、競走馬や種牡馬が蹄葉炎を発症する
と、安楽死の対象となることが多く見られます。
骨折(下写真)も、馬にとって今後の生活が大きく変化する要因となります。
馬は400~500kgの体重を4本肢で支えていますが、3本肢で支えるとなると、それぞれの肢
に負担がかかります。
軽傷では完治することもありますが、ベルトで体を吊らなければならいような重症の場合
(下写真)は、血液循環に支障をきたすことから蹄葉炎などを発症する確率が高くなり、
やはり安楽死の対象となります。







