今年5月、アメリカ航空宇宙局(NASA)は今年の気象について、「史上最も暑い年になる」
という観測データを発表しました。なるほど、今年は暑いわけです。
さて、健康な日本人の体温は概ね36.8℃(平均)くらいと言われています。
しかし、私たちの体温は一定ではなく、1日の中でも変動し、明け方6時頃に最も低くなります。
その変動範囲も、健康な人なら概ね1℃以内です。
動物はどうでしょう。
人間と同じように、汗※をかいて体温調節をする動物は、馬だけです。
※汗腺:哺乳類だけに見られるものですが、汗腺を持たない種もいます。
(イルカなどの水棲哺乳類)
競走馬などでは、1レース走るとバケツ1杯(10l)分の汗をかくとも言われています。
そんな汗かきの馬でも汗をかきにくい場所があるらしく、それは臀部
だそうです。
だからこそ、臀部の皮を使った製品は値段も高いと、学生時代に教わ
りました。
砂漠では1日の気温変動が激しく、日中50℃近くまで上がった気温が
明け方には0℃近くになったりします。
日中、ラクダはどのように体温調節をしているのでしょうか?
ラクダの体温は一定ではなく、34~40℃と気温に応じて変動させる
ことで発汗を抑え、体温調節に必要な水分を節約しています。
体温を一定に保つためには、エネルギーが必要です。
エネルギー節約のため、ラクダは、体温を一定にしない道を選びました。
ラクダにも汗腺はありますが、人間が37℃前後から発汗するのに対して、ラクダでは体温が
40℃を超えるまでは発汗しません。
イヌ※など他の動物では、呼吸数を増やして体温調節しますが、結果、多くの水分が失われ
ます。
※1分間にイヌでは300回、ウシでは200回にもなります。
ラクダは呼吸数を増やすこともなく、尿量も少なくして水分を節約する一方、血液中の水分
は一定に保たれています。
人間では、体重の12%の水分を失うと命に関わりますが、ラクダは、30%の水分が失われて
も大丈夫です。
特徴的な背中のコブも、断熱材の役割を持っています。
動物の中でも、体温が一定している動物は恒温動物(こうおんどうぶつ)と言われ、脊椎動物
の中では鳥類と哺乳類だけだと習った記憶があります。
しかし研究が進んだ現在、動物たちの体温に関する様々な事柄が分かってきました。
中南米に生息するナマケモノ※は、食べる量(木の葉や果実類)も少なく、エネルギーを節約す
るため、1日の中で24℃(夜間)~33℃(日中)に体温を変えています。
※前脚の指が2本のフタユビナマケモノと、3本のミユビナマケモノ
に分類されます。
哺乳類の首の骨は基本7本ですが、フタユビナマケモノは6本、
ミユビナマケモノは9本です。
鳥類は、卵を温めてヒナを孵化させるので、体温を一定にする必要があります。
ところが、カッコウ※など体温が一定ではない鳥たちは自分で卵を温めるのではなく、他の鳥
の巣に卵を産んで、温めてもらうことにしました。
その方が、効率的に自分の遺伝子を残すことができたから
でしょう。
※カッコウ:日本には夏鳥として渡って来ます。
(カッコウという和名は、♂の鳴き声からきています)
なお鳥類では、気嚢(きのう)という臓器が空冷機の働きをするので、汗はかきません。
魚の体温は、一般的には水温とほぼ同じですが、マグロなど、長距離を回遊する魚では、海水温
より5~15℃ほど体温が高いことが分かっています。