人の歯は、生涯に1度だけ、垂直に生え換わります。
乳歯の後に出てくる永久歯は、袋に包まれて出てきます。
袋が乳歯の歯根部に触れると、歯根部は溶けてしまうため、乳歯は簡単に取れてしまいます。
ゾウの歯は5回も生え換わり、他の動物が食べないような木の皮や根など、歯に負担のかかる
また臼歯は、上下左右で4本しかありません。
ります。
最後の歯もすり減り、エサも食べられなくなる時が、寿命です
草食動物では、犬歯を持たないものがたくさんいます。
歯を横に動かして草などを食べる動物では、犬歯が邪魔になり退化したと考えられています。
その代わり、身を守る手段として角を持っている動物もたくさんいます。
ちなみに馬には角がありませんが、オスの馬には犬歯があります。
動物の中には、げっ歯類のように生涯、歯が伸び続ける動物もいます。
げっ歯類以外でも、カバの犬歯は生涯伸び続けるため、動物園で飼育されるカバは、特に
下あごの犬歯を切らなければなりません。
ほおっておくと、上あごを突き破る恐れもあるからです。
自然に擦り減ったり、オスでは闘争などで犬歯が折れるため、特段の
支障はないようです。
恐竜の化石からも虫歯が見つかっていますが、人類も昔から虫歯に悩まされていました。
今から、五千年以上前のエジプトのピラミッド近くの墓で「入れ歯」が、日本でも弥生時代の
古墳から「人工歯」が発掘されています。
日本でも、室町時代には入れ歯があったようで、伊豆大島産の柘植(つげ)の木で作ったもの
が最高級とされていました。
ただ、頻繁に微調整を行う必要があり、一般庶民には高嶺の花でした。
アメリカの初代大統領ワシントンも、虫歯に悩まされていた一人で、
若くして入れ歯をしていたようです。
大統領になった時には、自身の歯は1本しかなかったと言われていま
す。
演説もうまく人気があり、3期目の大統領選挙も勝利は確実視されていましたが、入れ歯の関係
でうまく発音もできなかったとも、言われています。
そのことが、後の合衆国憲法による法制化(大統領の任期を最長2期8年とする)につながった
のです。
ノーベル平和賞を受賞したマザー.テレサも、酷い虫歯に悩まされていました。
しかし、「自分よりも苦しんでいる人がたくさんいる」という理由
から、治療をすることはありませんでした。
真冬のオスロでの授賞式にも関わらず、靴下も履かない徹底ぶりは
すごいとしか、言いようがありません。
最近の研究では、歯の健康状態が全身の健康や寿命にも関係していると考えられています。
また、歯が残っている本数が多いほど、生活自立度も高く、認知症発症リスクも低く、健康で
長生きできるという研究もあります。