今回は辰年に因んで、ドラゴンという名前の付いた動物を紹介します。
コモドオオトカゲ(コモドドラゴン:下写真)はインドネシアのコモド島、フローリス
島、リンチャ島などに生息する世界最大種のトカゲです。
記録では体重70kg以上、体長3m以上の個体もいたとか。
生息数は3,000頭くらいで、現在はインドネシアの国獣になっているため、移動には
大統領の許可が必要になっています。
コモドオオトカゲは嗅覚に優れ、数キロ先の獲物を見つけることができるほか、四肢
がしっかりしていて体を持ち上げることができるので、意外と走るのが速いという
特徴もあります。
大人のコモドオオトカゲは、シカやイノシシ・水牛などを獲物とし、その歯は肉を食い
ちぎりやすいように縁がギザギザに尖っています。
以前は、咬まれた動物はコモドオオトカゲの口腔内の細菌による毒性から敗血症に
なり、その後死亡すると考えられていました。
現在では、コモドオオトカゲの歯と歯の間には複数の毒管があり、咬みついた時に
毒液が獲物の傷口に流れ込み、筋肉麻痺、血圧低下、血液の凝固不全などを起こす
ことで意識を喪失すると考えられています。
近年、コモドオオトカゲの繁殖について、衝撃的な事実が判明しました。
何と、「単為生殖」でも繁殖できるというものです。
動物は通常、メスとオスで繁殖しますが、メス単独で次世代を残すこともあり、
単為生殖と呼ばれています(昆虫や魚類、爬虫類など)
哺乳類では、卵子と精子が受精して両方の遺伝子が揃わなければ成長できないため、
単為生殖はできません。
また単為生殖は、動物がより単純だった大昔から存在していたと考えられており、
ただ数を増やすだけなら効率の良い繁殖方法です。
その一方で遺伝的な多様性がないため、環境の変化や病気などに対応できないと
いうリスクもあります。
ですから、脊椎動物のような複雑な種にとっての単為生殖は、生き残るための最終
手段の一つと考えられ、砂漠や離島に生息する種に多く見られる理由の一つにも
なっています。