今年の干支は「辰(龍)」で、十二支の中では唯一、実在しない動物になります。
中国で龍は、麒麟・鳳凰・霊亀と並んで4種の霊獣の一つで、最も力がある動物と
されていましたので、十二支に選ばれたのかも知れません。
ところで皆さんは、タツノオトシゴ(ヨウジウオ科タツノオトシゴ属)という魚を
知っていますか。
日本では、その姿が空想上の竜の子どもに似ていることから「竜の落とし子」と
呼ばれています。
中国では海馬、英語ではシーホース(Seahorse)と呼ばれ、世界には40種以上が、
日本にも10種ほどが生息しています。
魚類ですからエラや背びれ、胸びれはあります。
尾びれはありませんが、潮流に流されないように海底の海藻などに尾を絡ませて直立
して生活し、動物プランクトンやヨコエビなどの小型甲殻類を主食にしています。
タツノオトシゴは繁殖形態がとても変わっていて、何とオスのお腹に「育児嚢」という
袋があります。
メスはオスの袋の中に産卵しますが、育児嚢には哺乳類のメスの子宮と同様に胎盤
があり、栄養や酸素を子どもに運びます。
オスは育児嚢で卵を守りふ化させ、2~6週間後に育児嚢から子供が出てきます。
現在タツノオトシゴは、漢方薬の原料として中国やアジア諸国では広く利用され、
カナダの研究者の調べによると、95年は年間2,000万尾が漁獲されたそうですから、
相当な数です。
その効果ですが、滋養強壮や鎮痛、精力増強などがあると言われており、薬用部分は
内臓を除いた全体で、天日干ししたものが用いられます。
タツノオトシゴには天然アミノ酸のGABAやコラーゲン、脂肪、タンパク質などが
含まれており、体に良さそうなのは分かりますが、別にタツノオトシゴでなくても
いいような気もします。
龍という、強いものに対する一種の「あこがれ」なのでしょう。