今年7月31日、アメリカのテネシー州ライムストーンの動物園(ブライツZOO)で、
アミメキリンの母親から斑紋(網目模様)のないメスのキリン(下写真)が生まれ
ました。
今のところ、健康状態に問題はないとのこと。
日本では、1967年・1972年に上野動物園のアミメキリンから斑紋のないメスのキリン
(下写真)が生まれています。
2頭(リョウコ・トシコ)は、ネック(母)とタカオ(父)との間に生まれました。
ただ、ネックがタカオの子どもであったことから、斑紋のないキリンの誕生は近親
交配による遺伝子の異常(劣性遺伝子の出現)が原因と考えられていますが、詳しい
研究はなされていません。
2頭は共に短命で、リョウコは6年7か月、トシコは2年3か月で亡くなっています。
なお、1976年にネックとタカオの間に生まれたオスには正常な斑紋があり18年間
生きましたので、性別は劣性遺伝子の出現に何らかの影響を与えているのかも知れ
ません。
野生でも今年、アフリカのナミビアで斑紋のないキリンの赤ちゃんが発見されて
います。
アフリカのサバンナで暮らすキリンの斑紋は、保護色としての役割がありますが、
他にも体内の熱の放出にも役立っているようです。
斑紋の下には大きな汗腺があり、血管の配置も独特であるため、体に溜まった熱を
効率的に外に逃がすことができるのです。
長生きできなかった上野動物園のリョウコ・トシコですが、死亡した時期が夏場
だったら、熱中症の可能性もあったかも知れません。
最近の遺伝子解析により、キリンには4つの亜種がいることが分かっています。
日本の動物園でも見られるアミメキリンやマサイキリンのほか、ミナミキリン、
キタキリンです。