5月10日~16日は愛鳥週間(バードウィーク)です。
今回は、今年秋以降公開予定の絵本のテーマにもなっているクマタカについて、
ご紹介したいと思います。
クマタカは日本に生息するタカの仲間では最大で、翼を広げた大きさは140cm~
160cmにもなります。
クマタカの「クマ」とは大きくて強いことを表す接頭語で、他にもクマゼミや
クマバチ(下写真)などがいます。
クマタカは日本では、北海道から九州の300m~2,000mの低山帯から亜寒帯に
生息する留鳥で、島しょ部にはいないとされていますが、過去には佐渡や隠岐、
対馬などで確認されています。
クマタカは森林内の中・小動物を獲物とし、森林生態系の頂点に位置すること
から森の王者とも呼ばれ、リスやノウサギなどの哺乳類、ヒヨドリやヤマドリ
などの鳥類、ヘビなどの爬虫類と、多様な動物を捕食します。
繁殖は隔年又は2~3年間隔で、4月頃に広葉樹や針葉樹の地上10m以上の所に、
主にオスが巣材を運んで巣を作ります。
産卵は1卵(稀に2卵)で、抱卵期間は約50日です。
ヒナはふ化後70~80日で巣立ちしますが、クマタカは成鳥になるまでの死亡率が
高く、環境省が定める絶滅危惧種IBにも指定されています。
クマタカが生きていくためには、広大な深い森が必要となります。
しかし現在、ダムや風力発電、観光開発、道路建設による森林伐採で、クマタカ
の生息環境は年々悪化し、営巣放棄・育雛放棄などによる繁殖率の低下や、幼鳥
の死亡率が高くなるなどの影響が出ています。
クマタカを守るためには、天然資源である広葉樹林の保全や再生、また人工林の
適正な管理も必要になります。
それらは結果として、災害から我々を守ることにもなるのです。