WHOは7月23日、サル痘の拡大を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と
判断しましたが、日本でも7月25日、厚労省が都内在住の30代男性がサル痘に感染して
いると発表しました(その後、2例目・3例目が確認)
男性には海外渡航歴があり、現在の症状は安定しているものの、国内1例目の感染確認
となりました。
サル痘は、狂犬病やデング熱・ツツガムシ病などと同じ届出の義務がある4類感染症
に指定されているウイルス病で、主にアフリカ大陸に生息するリスやネズミなどの
げっ歯類が自然宿主となっています。
人への感染は、感染した動物に咬まれたり、血液や体液・皮膚病変との接触によって
感染します(急性発疹性疾患)
サル痘は2週間(最大3週間)の潜伏期間後、発熱や頭痛・リンパ節の腫れなどが現
れ、発熱から1~3日後に発疹が見られるようになります。
発疹は(典型的には)顔から始まり、体中に広がります。
なお厚労省は性的接触に伴う症状(肛門周辺など)が出ていることから、現行の届け出
基準の臨床的特徴を追加する方向で検討しています。
普通は発症から2~4週間で自然治癒しますが、重症例になると天然痘との区別は困難に
なります。
治療は抗ウイルス薬のほか、症状に応じて対症療法を行います。
予防としては天然痘ワクチンが有効で、日本でもテロ対策の一環として、国内製造の
ワクチンが備蓄されています。
サル痘という病名については、ポリオワクチン製造のための霊長類施設で飼われて
いたカニクイザル(下写真)から発見されたことに由来します。