今年は寅年なので、トラつながりで「トラフグ」をご紹介します。
トラフグは、北海道から九州の日本各地の沿岸~やや沖合に生息し、近海にいる約70種の
フグの中でも「フグの王様」とも言われています。
また、厚労省が食用として認めている約20種のフグの中の一つです。
食べられるのは筋肉・皮・ヒレ・白子で、卵巣や肝臓には青酸カリの1,000倍ほどの強い
神経毒(テトロドトキシン)がありますが、フグの生息地や季節などにより、変異する
とも言われています。
フグは、もともと毒を持っているわけではありません。
フグ毒を作るバクテリアを体内に取り込むことで、貝やヒトデにテトロドトキシンが蓄積
し、それらの貝やヒトデを食べることで最終的に、フグの体内にもテトロドトキシンが
蓄積するのです。
トラフグは現在、養殖が盛んに行われており、養殖トラフグには毒はありません。
日本人は古くからフグを食べていたらしく、縄文時代の貝塚からもフグの歯骨が発見され
ています。
当時は毒のことなど知らない時代ですから、多くの犠牲者もいたと思います。
きっと知恵ある人が、「肉」は食べていいが「内臓」は食べてはいけないことを経験的に
学習し、代々その教えが守られたのだと思います。
ところで秀吉は、フグの内臓を食べた家来が食中毒で死亡したことを知り、日本で最初の
「河豚食禁止の令」を出してフグ食を取り締まったと言われており、フグ食の取り締まり
は明治まで続きました。
その後、下関を訪れた伊藤博文がフグ食解禁を県令(現在の県知事)に働きかけ、明治21年
からは下関で再びフグ食が始まったようです。