今年もまた、「幼い命」が失われる事件がありました。
被害者は母親の実の子ども、加害者は母親の交際相手で無職というパターン。
似たようなニュースを聞くたびに、犠牲となった子どもの実父はどこにいるのだろうと、
思ってしまいます。
しっかりとした生活基盤のないまま妊娠・出産した結果、実父は家を出て行き、新たに出
会った彼には今度こそ、嫌われないよう振舞うことが我が子のためになると思い込んだの
でしょうか?
そこには我が子を慈しむ「母」としての姿はなく、まだまだ若い体を持て余す「女」とし
ての姿しかなかったような気がしてなりません。
以前もご紹介しましたが、動物たちの世界にも「子殺し」はあります。
ただ、その多くは授乳中(他のオスの子ども)で発情のこないメスに対して発情を促し、
自分の子孫を残すための子殺しです。
動物たちにとって、自分の子孫(遺伝子)を残すことは最も重要であり、そのために生ま
れてきたと言っても、過言ではありません。
プライドと呼ばれるライオンの群れには、群れを率いるオスライオンがいます。
ただ周りには、群れを乗っ取ろうとする若いオスライオンたちもいるため、自身のプライド
内で子孫を残せる期間は、2~3年くらいしかありません。
ですから、乗っ取った群れの中に生後6か月以内の子どもたち(前のオスの子ども)がいれ
ば、新たなオスによってすべて殺され、妊娠しているメスライオンの多くが、流産すると
いいます。
生まれても、オスライオンに殺されるだけですから。
メスたちは子どもを殺されないように抵抗もしますが、力の強いオスには敵いません。
ヒトに最も近いと言われるチンパンジーでも、子殺しがあります。
子殺しをするのは主に大人のオス、殺されるのは主にオスの子どもが多いようです。
興味深いのは、子殺しが隣接する他の集団の子どもたちだけではなく、自身の集団の中で
も起こるということです。
特に子どもを連れたメスが新たな集団に加わった場合、その子どもが犠牲となるケースの
ほか、自身の集団や他の集団との間で、大人のオス同士の殺し合いも報告されています。
ほとんどの動物では、相手が逃げたり服従の姿勢を見せると攻撃は終わりますが、何故か
ヒトとチンパンジーだけは、相手にとどめを刺すような殺し方をします。
なお、アフリカの各地で観察されているチンパンジーの集団では、肉食は決して珍しいも
のではないようです。
アカコロブス(下写真)などの小型のサルのほか、小型のシカなどもチンパンジーの狩り
の対象になっています。