エキノコックスとは寄生虫症の一つで主に北半球で発生し、日本では北海道を中心とする
北日本で確認されています。
エキノコックスには、卵・幼虫・親虫(下左写真)という3つの発育段階があり、親虫は
キツネやイヌの体内に、幼虫は野ネズミ(北海道ではエゾヤチネズミ:下右写真)の体内
に、卵は親虫から産み出され、キツネやイヌの便と共に排泄されます。
卵は直径0.03mmほどの球形で、熱や乾燥には弱いものの寒さには強く、-10℃や-20℃
でも死なないそうです。
人へは、エキノコックスの卵が口から入り、卵から幼虫になることで感染し、10年程して
から重い肝機能障害などを引き起こします。
エキノコッカスは人以外の動物にも感染し、今から27年前、北海道の旭山動物園で飼われ
ていたローランドゴリラとワオキツネザルが、エキノコッカス症で死亡しました。
当時は、「飲料水から感染か?」という新聞報道などもあり、旭山動物園はしばらく閉園
したこともありました。
ところで国立感染症研究所は先日、愛知県の知多半島内で「エキノコックスが定着した」と
の見解を発表しましたが、北海道以外では異例です。
愛知県では2014年以降、知多半島で捕獲された野犬からエキノコックスが検出されており、
検査は糞便内の虫卵検査が基本ですが、虫卵検査では陰性の検体であっても、PCR検査に
よってエキノコッカスの遺伝子を検出した例もあるようです。