今年10月31日、東京の上野動物園でオスのアジアゾウが誕生しました。
アジアゾウの出産は国内14例目(死産含む)で、上野動物園では1882年の開園以来、初めて
のことです。
ゾウは、動物園でも最も繁殖の難しい動物ですから喜ばしいのですが、残念なことに父親の
アティは昨年8月、結核で亡くなっています。
さらに、国内で生まれた子ゾウの内の5頭が5歳以下で死亡しており、これからの飼育が大事
になってきます。
母親のウタイ(下写真)は、2016年の10月に1度流産を経験していますから、ウタイも上野
動物園も嬉しかったことでしょう。
ゾウの妊娠期間は約21~22か月で、哺乳類の中では最も長く、生涯に3頭ぐらいしか出産でき
ません(次に長いのはシャチの約16~17か月)
ウタイは昨年1月に交尾が確認されており、今年の10~11月が出産予定になっていましたので、
ほぼ予定通りの出産でした。
なお、ゾウのお乳は比較的薄く水っぽいと言われていますが、栄養価は極めて高いそうです。
そもそも母親のウタイと父親のアティは、現在の天皇・皇后両陛下の長女愛子さまの誕生を
祝って、タイ政府から寄贈されたものです。
ゾウの繁殖が難しい理由としては、メスに比べてオスの飼育数が少ないことです。
オスには「マスト」と呼ばれる興奮期があり、性ホルモンの分泌が増えることから性格が
粗暴になります(イライラして攻撃的になる)
このようなことが、オスの飼育を難しくしています。
この時期は、側頭腺から分泌液を排出します(下写真)
ゾウは、他の哺乳類とは異なる特徴を持っています。
脳:陸上動物の中では最も大きく、6,600㎤で体重の0.1%(人は1,350㎤で体重の2%)
歯:多くの哺乳類では、生涯に1度だけ歯が生え替わりますが、ゾウは6回生え替わります。
臼歯は、上下の顎に2本ずつ(計4本)しかありません。
会話:ゾウの発する声の2/3は、人には聞こえない低周波で8㎞先まで届き、鳴き声には特別
な意味があると言われています。
成長:性成熟後も成長は遅くなるものの成長を続けます。