日米両国で活躍し、数々の記録を打ち立てた日本人メジャーリーガーのイチロー選手が先日、
ついに引退を発表しました。
その会見で、人望のない自分には監督は絶対無理と言っていたのが、とても印象的でした。
でも実際は、人望のある選手だと思いますよ~。
広辞苑によれば、人望とは「世間の多くの人々がその人に寄せる尊敬・信頼または期待の心」
ということですから、間違いありません。
逆に人望もないのに、ある特定の人や組織の思惑・都合で、リーダーになる数多くの人事を
見せられてきた者としては(真意はともかく)、イチロー選手の自己分析は清々しいもので
した。
動物園という組織をプロスポーツに例えるなら、園長は監督です。
ではなぜ、プロスポーツに例えるのかと言えば、市長の新年のあいさつには必ず次のような
フレーズがあるからです。
「プロ意識を持って仕事をして欲しい」と。
たとえば、あるプロスポーツの監督が、その競技の未経験者であるというのは考えられませ
んし、ファンやサポーターに対して、これほど失礼で侮辱する監督人事はありません。
当然、日本のスポーツ界においても過去、そのような監督人事はなかったと思います。
(小・中・高の部活レベルなら分かりますが)
野球・サッカー・バレーボール・陸上・水泳などなど、素人の監督で勝てるはずがありま
せん。
日本の動物園長はどうでしょうか(古賀さんや中川さんのような方もおられましたが)
以前もご紹介したとおり、ただ獣医師の資格を持っているというだけで、一番大切な資質を
問われることもなく、野生動物には全く興味のない人がある時は衛生部局から、またある時
は農政部局から来るのです。
時には、動物の名前さえ十分に知らないない事務職の管理職が当たり前のように園長になる
わけですから、欧米とは勝負になりません。
(ここで言う勝負とは、飼育動物の繁殖実績や来園者への環境教育の取り組みなどです)
少なくとも、飼育している動物たちに対してこんな失礼な人事があるでしょうか。
こちらがプロ意識を持てば持つほど、議論できなくなってしまいます。
「議論は知識のやり取り、口論は無知のやり取り」という言葉もあります。
当然ながら、彼らは動物たちのエサを作ったこともなければ、繁殖に関わることも動物の死
に立ち会うこともなく数年間を過ごし、ある者はそのまま退職、またある者は待ちに待った
次のポストへと去って行くのです。
勿論、園長には園長の仕事(議会やマスコミの対応など)がありますが、上司や役所の立場
を優先(忖度)するのではなく、動物のこと・職員のことを第一に考えて欲しいのです。
過去には京大の経済学部出身で、「動物園の歴史」という名著を出版された佐々木時雄さん
(元京都市動物園長)のような方もいらっしゃいましたが、、、。
だからと言って(幾ら現場を経験したところで)、人望や資質が伴わなければ、所詮、職員
が憧れるような目標にするような園長にはなれません。