がんの治療法としては現在、1. 手術 2. 放射線 3. 抗がん剤治療が主なものでしたが、本庶
先生のノーベル賞受賞をきっかけに、第4のがん治療法と言われる免疫療法が今後、ますます
注目を浴びることと思われます。
ところで、免疫療法と聞いて思い出されるのが「丸山ワクチン」です。
今から50年以上前、日本医科大の皮膚科教授だった丸山千里博士が開発したもので、現在でも
治療薬としては承認されていませんが、医師の承諾があれば使用できるそうです。
元々は、皮膚結核やハンセン病の治療薬として使われていたもので、ハンセン病患者にがんが
見られないことに着目した博士の考案によって生まれた免疫療法剤です。
承認されない一番の理由としては、がんに対する明確な治療効果が見られないからと言われて
いますが、当時、承認されたほかの免疫療法剤は後に、ほとんど効果がなかったことが明るみ
になっています。
また丸山博士が、日本医科大という「私学」出身者だったというのもあったようです。
東大や京大の教授なら、国や学会、世間の見方も変わっていたのかも知れません。
本当の才能・実力よりも、学閥や誰に師事したかで評価が分かれるようでは困ります。
ファーブルしかり、牧野富太郎しかり、田中一村(下の絵)しかりです。
音楽の世界でも、指揮者を目指すならカラヤン(下写真)に、ピアニストならホロヴィッツ
に、バイオリニストならハイフェッツにといった具合です。
ちなみに本庶先生の研究室では、人種・国籍を問わず、多くの若手研究者が日々、研究に勤し
んでいるようですから、今後の研究成果が楽しみです。