5月になると、日本のあちらこちらで、ホタルを見ることができるようになります。
日本ではゲンジボタル※やヘイケボタル、ヒメボタルなどが有名ですが、日本には約50種、
世界には約2,000種のホタルが生息していると言われています。
以下、ゲンジボタルについて説明します。
※ゲンジボタル
♂は体長15mm、♀は20mm前後で本州以南に生息し、幼虫はカワニナ
を食べます。
ホタルの幼虫は「水中」で暮らし、成虫になって初めて「発光」すると
思っていませんか?
実はゲンジボタルなど、幼虫時代を水中で過ごす種は少数派で、ほとんどの種は、陸生巻貝
や土壌動物などを食べています。
また、ゲンジボタルなどの夜行性のホタルでは、「卵・幼虫・さなぎ・成虫」と、すべての
ステージで発光します。
以前、ホタルの繁殖に取り組んでいた頃、夜間、部屋の片隅に置いていた卵が青白く光るのを
見て、感激したことがあります。
幼虫の主食はカワニナですが、その食べ方は、とても変わっています。
多くの動物は、自分の体の中でエサを消化(体内消化)しますが、ゲンジボタルの幼虫は口の中
から消化液を出して、消化されたカワニナの肉汁を吸い取ります(体外消化)
その匂いを嗅ぎつけると、他の幼虫たちも集まってきて、カワニナに群がります。
左側2匹の幼虫が、カワニナの肉汁を吸い取っています。
水中で年を越した幼虫は、気温や水温が15℃くらいになった暖かい雨
の夜※に水中から這い上がり、水辺の土の中でさなぎになって羽化を
待ちます。
※外敵に襲われないように、日没から2~3時間後の真っ暗闇の中で上陸のピークを迎えます。
同じ環境で育てても、幼虫の成長には個体差※が見られ、小さな幼虫は更に1年、水中で過ごす
ことになります。
※個体差
大雨などの水害による大量死を防ぐためという説があります。
1 産 卵:メスは複数回に分けて、約500個ほどの卵を産みます。
2 有精卵:0.5mmほどの淡黄色だった卵が、次第に黒色に変化します。
3 孵 化:卵は約1カ月ほどで孵化し、幼虫は体を丸めて水の中に落ちます。
4 幼 虫:脱皮を6回行い、20匹ほどのカワニナを食べます。
5 さなぎ:水辺から1~2mの範囲の土の中で「さなぎ」になり、30~40日で羽化します。
6 成 虫:水だけを飲み、光の強い♂は2節、♀は1節が光ります。
ホタルの光は熱を伴わないので、冷光と言います。
ホタルの発光は、発光細胞の中にあるルシフェリンという物質が発光酵素であるルシフェ
ラーゼの触媒作用※によって、ATP※と反応することから始まることが分かっています。
自然界には、人の脳にα波※を増やすものがたくさんあります。
せせらぎの音などです。 ホタルの光が放つ「ゆらぎ」も、
その代表的なものの一つと言われています。
皆さんも、ホタル観察会に参加されてみてはいかがですか。
※触媒作用
化学反応で自身は変化せず、特定の反応を促進させる作用
※ATP
生体内にあり、エネルギー産生や物質の代謝・合成に関わる重要な物質
(アデノシン-三リン酸 )
※α波
気持ちをリラックスさせてくれる周波数