野生動物では、基本的に体の大きい動物ほど、長生きです。
哺乳類ならゾウやクジラ、鳥類ならダチョウやツル、ワシ、爬虫類ならゾウガメなどです。
ゾウ:60~80年(飼育下) クジラ:100~200年 ゾウガメ:100~200年
ダチョウ・ツル・ワシ:40~50年(飼育下)
野生動物にとっては、自分の遺伝子を残すことが最重要ですから、寿命に占める生殖可能な
期間も長くなります。
また寿命は、性成熟する年齢(期間)の5倍だとする説もあります。
一つの目安ですが、野生のゾウに当てはめてみると、メスは14~15歳で性成熟しますから
寿命は70~75歳となり、人間の女性の性成熟年齢を18歳とすれば、寿命は90歳になります。
(動物種によっては、例外もあると思います)
ミャンマーでは55歳で出産したゾウの例や、インドでは、11頭出産
した例もあるようです。
2008年、円山動物園(札幌市)のガチャというチンパンジーが出産しました。
当時の推定年齢は40歳ほどでしたが、チンパンジーの性成熟年齢が7~8歳だとすれば、ほぼ
寿命を迎えた時期に出産したことになり、人間では到底考えられないほどの高齢出産です。
寿命の短い動物や天敵の多い動物では、一度にたくさんの卵や子どもを産んだり、シーズン中
に複数回※繁殖することで、子孫を残そうとします。
※:スズメやツバメなども複数回、繁殖します。
また知能の高い動物ほど、長生きする傾向もあります(大型類人猿・ゾウ・クジラの仲間など)
単に本能だけでは解決できない、様々な学習を通して群れ社会や自然の中で生き抜く知恵を身
につけるためにも、相応の時間と高い知能が必要になったのでしょう。
長生きする動物では、生涯に出産する子供の数も少なくなる傾向があります。
特にチンパンジーやゾウでは、生まれた子どもに手がかかる間は次
の繁殖が抑えられます。
それでも繁殖できる期間が長いため、約5年ほどの間隔でも、生涯に
5~6頭は出産することができるので大丈夫です。
つまり、人間のような「年子」はいなくても、十分、自分の遺伝子(子孫)を残すことができ
ます。
長生きすると、人間も動物も「老い」を避けることはできませんが、特に野生動物では、
老いることは「死」を意味します。
なぜなら、生きるうえで大切なエサを採ることも、身を守ることも十分にできないのですから。
さて、人間には長寿命が与えられ、遺伝子(子孫)を残し終えた後の時間も、かなりのもの
です。
特に医療環境や食糧事情の豊かな先進国では、昔のような寄生虫症や感染症も少なくなり、
平均寿命は毎年伸びています。
私たちは、この長寿命時代を、どう生きていけばいいのでしょう。
いろんな生き方の裏には、人それぞれの理念や価値観、哲学、想いなどがあると思います。
今年、元プロ野球のスター選手だったKが覚せい剤取締法違反で逮捕されました。
友人・知人からは、一日も早い社会復帰を望む声が多数、聞かれましたが、あるワイドショー
のコメンテーターは、単に社会復帰するのではなく、社会に「必要な人間(存在)」として
復帰してほしい、と言っていました。
それは、過ちを犯した人間だから?
一方私たち一人一人は、自身、社会に必要な人間であることを自覚して、生きているので
しょうか。
偉そうな言い方になるかも知れませんが、人間に長い寿命が与えられている理由、それは正に、
社会に必要とされる人間になるための、修行のようなものに思えてなりません。