私たち人間は、どうして「勉強」しなければならないのでしょうか?
それは、物事の「本質」を理解できる人間になるためだと思います。
そこで、本質を理解できなかった時代(当時の人たちが悪いわけではありません)の、おかし
な行動を幾つか紹介します。
1 犬の舌で傷を治す
野生動物(主に哺乳類)が怪我をした時、自分にできる治療法は、ひたすら傷口を舐める
ことだけです。
舐めて舐めて舐めつくして、傷を治します。
唾液にはリゾチーム・ラクトフェリン・免疫グロブリンなどの
抗菌・殺菌作用のある物質のほか、ヒスタチンなど、傷口を
早く治す物質も含まれていることが分かっています。
昔は、そんな科学的なことは分かりませんから、犬の舌そのものに傷を治す物質があると
信じられ、犬の舌を傷口に貼り付ける治療が、実際に行われていました。
2 ヘビの眼病を治す草
ヘビは、脱皮前になると目が白く濁ってきます。
脱皮は、古い表皮を脱ぎ捨てる大事な生理作用で、目の表面を被う透明な鱗も剥がれ落ちて
新しくなります。
でも、時々うまく剥がれ落ちずに、目が白く濁ったままになることもあります。
当然、ヘビは目が見えませんから、あちらこちらにぶつかりながら、進むことになります。
目の白いヘビを見た人たちは、「あのヘビは目の病気に罹り、きっと目が見えなくなった
のだろう」と思ってしまいます。
目が見えないのはヘビにとっても都合が悪いので、たとえば草むらなどに入って目をこすり、
何とか残った鱗を取ることに成功します。
それを見た人たちは、ヘビが目を擦った草には、きっと目の病気を治す「薬効」があるに
違いないと思ってしまいます。
一瞬で、目がきれいになるのですから。
3 ダチョウとダイヤモンド
ダチョウを食べていた頃の話ですが、上記の二つから導かれる「おかしな行動」とは何か、
4 ウミガメ放流会の真実
夏になると、日本各地でウミガメ放流会が催されます。
今でこそ、ウミガメの生態を無視した放流会は少なくなりましたが、最近までウミガメ虐待
に近い放流会が当たり前のように行われていました。
放流会当日、子ガメは50匹しかいないのに、200人の子どもたちが集まったとします。
たとえば、ジャンケンなどで子ガメの数だけ子どもを選び、その子どもだけに放流させよう
とすると、どうなるでしょう。
「せっかく来たのに!、夏休みの宿題にするつもりだったのに!、うちの子にもさせろ~」
などなど。
あなたが放流会当日の担当者だとしたら、どうしますか。
実例ですが、まず50人の子どもに子ガメを渡します。
子どもたちは子ガメを持って、波打ち際で放流します。
子どもなりに、子ガメに砂浜を歩かせるのは可哀想だと思うのでしょう。
子ガメは元気よく沖に向かって泳いで行きますが、そこには網を持った親父が何人かいて、
せっかく放流した全ての子ガメを回収します。
そして、順番を待っている次の50人に子ガメを渡し、放流させるのです。
全部の子どもが終わるまで。
子ガメにとっては、虐待そのものです。
実際、正式な放流前に力尽きて死んでしまう子ガメもいたことを、長年、ウミガメ保護に
携わった方から聞いたことがあります。
穴の中で孵化した子ガメは、夜を待って海※に帰って行きます。夜の方が安全ですから。
※子ガメは、紫外線のある方向(夜でも、海面が紫外線を反射している)に向かう性質があり
ます。
通常、孵化してから12~24時間くらいが子ガメの活動期で、外敵から逃れるため、ひたすら
沖に向かって泳いで行った後、少し休むようです。
一方、放流会に使われる子ガメたちは、その一番大事な活動期を、バケツなどの中で過ごす
ことになります。
気力を振りしぼり、やっとの思いで沖に向かうと、そこには親父が!
ウミガメのメスには母浜回帰性があり、産卵のために生まれた浜(生まれた浜の近くの浜)
に戻って来るとも言われていますが、その生態は十分には解明されてはいません。
またウミガメは、方位磁石によって地磁気を感知し、自分の位置が分かるとも言われて
います。
その大事な方位磁石は、孵化した子ガメが砂浜を歩く時に体内
に取り込まれるという説もあり、まだまだ分からないことだらけ
です。
子ガメの放流は波打ち際ではなく、砂浜をしっかり歩かせることが大事なのかも知れません。
次に、科学的根拠は分からなくても、その真理を理解していた時代の話です。
秋になると稲穂が実ります。 その時期はカミナリが多く、当時の人たちは、カミナリのお陰で
ですから稲にとってなくてはならない大事な存在として、イナヅマ
(稲の夫又は妻)※ということばも生まれたのでしょう。
※昔の夫婦・恋人が相手を呼ぶことばは、男女関係なく「つま」と
言っていたそうです。
植物の成長に窒素は欠かせませんが、その多くは空気中にあり、自然界の多くの植物は利用する
ことができません。
分かりやすく言えば、カミナリが発生することにより、窒素と酸素が結びついた窒素酸化物が
生まれ、雨水などと一緒に土中に入ることで植物の栄養になるのです。
高台にある団地の高圧線下でも、立派な野菜や花などを見かけることがあります。
でも実際は、電線のお陰以上に元肥や追肥など、住民の皆さんの努力の賜物なのでしょう。