今年も、イグ・ノーベル賞の発表(下写真)がありました。
生物学賞に農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県)の児嶋朋貴研究員らのチームが選ばれ、
日本人の受賞は、19年連続となりました。
「ウシにシマウマのような縞模様を描くことで、アブに刺されるのを避けられるかを検証した
実験に対して」が受賞となりました(下写真:実験に使われた黒毛和牛)
牛は、ハエにたかられるとエサを食べたり休んだりする時間が減るので、増体が悪くなったり
乳量が減るなど、経済的損失が大きくなります。
チームは黒毛和牛6頭で実験し、白い塗料で縞模様を描いた牛、黒い塗料で目立たない縞模様
を描いた牛、模様を描かない牛を用意して体にたかるハエの数、頭や尾を振るなどハエを追い
払う行動の数を比較しました。
その結果、白黒の縞模様の牛は他の2種類に比べてハエの数が半分になり、追い払う行動の数
も少なかったそうです。
アフリカには、吸血性のツエツエバエ(下写真)が媒介するトリパノソーマ(アフリカ睡眠病)
という人畜共通感染症があり、日本では牛・水牛・馬の届出伝染病に指定されています。
シマウマは、アフリカノロバ(下写真)に比べると、トリパノソーマに罹りにくいことが知ら
れており、シマウマの縞模様はツエツエバエを寄せ付けないために進化の過程で獲得したので
はないか、という説もあるようです。
ですから、縞模様のウシの方がアブに刺される割合が減るとすれば、納得できる話です。
また、シマウマの縞模様パターンを分析した研究では、気温と縞模様には何らかの関連がある
ことが分かりました。
気温が高い地域に生息するシマウマほど、縞模様の数が多かったのです。
そのためシマウマは、同じ地域に住む縞模様のない哺乳類と比較すると、体温が3℃低いとも
言われています。
馬は筋肉質で、運動時には体内で熱の燃焼が続くことで十分に体を冷やしきれず、熱がこもり
やすいことから、暑さには弱いと言われています。
なお、ヒトがトリパノソーマに感染すると発熱・悪寒・頭痛などの症状が現れ、やがて眠気や
歩行障害などを起こします。
トリパノソーマ(下写真の赤いもの)は、トリプトフォールというアルコールの1種を産生する
ことが分かっています。
トリプトフォールは、脳に到達して睡眠を誘発しますので、治療しなければ昏睡状態となり、
やがて死に至ります。






