奄美大島の外来種

1979年、鹿児島県の奄美大島に沖縄から運ばれたマングース(フイリマングース)

数十頭が放されました。

 

 

 

 

 

ハブ対策として放されたマングースでしたが、残念ながらハブの天敵とはならず、

逆に島の貴重な固有種(アマミノクロウサギ、ケナガネズミなど)の天敵となって

しまいました。

 

 

 

 

 

そこで環境省は2000年、本格的なマングースの駆除に着手し、また2005年には

奄美マングースバスターズ(下写真)も結成され、多くのマングースが駆除されて

きました。

2019年度以降、マングースの捕獲数ゼロが続いていますので、現状は極めて少ない

状態または根絶できている状態と考えられ、今年9月にも「根絶宣言」が出される

予定です。

 

もう一つの外来種が、東アフリカ原産のアフリカマイマイ(下写真)です。

 

 

 

 

 

大きさは15cmほどで、奄美大島には戦時中の食糧として持ち込まれたものの、気味が

悪くて庭に捨てられたものが繁殖して増えたようです。

アフリカマイマイは現在、農作物に被害を与えています。

 

ところで皆さんは、広東住血線虫(下写真)という寄生虫を知っていますか?

中国広東省のネズミの肺動脈から見つかり命名されましたが、その後沖縄のネズミ

からも発見されています。

日本での感染者も報告され、最悪の場合はに至る寄生虫病です。

親虫はネズミの肺動脈で産卵し、ふ化した幼虫(第1期)はネズミのといっしょに

排泄されます。

ネズミの糞は、アフリカマイマイやナメクジなどの軟体動物に食べられ体内に侵入し、

感染力のある幼虫(第3期)になります。

全国各地のネズミや軟体動物の調査では、広東住血線虫の寄生(成虫・幼虫)が

認められていますから、アフリカマイマイを素手で触らないようにすることが重要

です。

また、アフリカマイマイに汚染された生野菜を食べても感染するそうですから、注意

しましょう。

 

沖縄では十数年前、死亡したケナガネズミ(下写真)のから大量の広東住血線虫

が見つかっており、アフリカマイマイから感染したと考えられています。

ケナガネズミは奄美大島や徳之島、沖縄北部のみに生息する希少種で、国の天然

記念にもなっています。

ケナガネズミの主食はシイの実や昆虫などですが、アフリカマイマイやナメクジ

を食べることもあることから、広東住血線虫に感染したと思われます。

 

野生動物に駆虫薬を飲ませることはできませんので、今後の推移を見守るしか

ありませんが、外来生物によって国内の希少野生動物が絶滅することがないこと

を祈るだけです。

 

 

 

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