皆さんは、モズ(下写真)の特徴的な鳴き声(キイ-キッキッキチキチ)をご存知
でしょうか?
秋の到来とともに、我が家の近くでも聞こえるようになりました。
モズは全長20cmほどの小鳥ですが、性格は獰猛で昆虫、カエルなどの両生類、
トカゲなどの爬虫類、時にはネズミなども捕食する肉食の小鳥です。
モズと言えば、やはり「はやにえ」(下写真)が有名です。
モズの仲間は、捕えた獲物を木の枝先や有刺鉄線のトゲなどに突き刺して数か月
間放置する習性があり、その突き刺した獲物を「はやにえ」と言います。
はやにえの理由については、いろんな説があります。
エサが獲れない時期に備えるための①備蓄説、食べ残しを一時的に保存するという
②保存説、動くものを反射的に獲るという③本能説などなどです。
まず備蓄ですが、雪国のモズは冬になるとはやにえを残して暖地に移動することも
あります。
雪国以外の地域ではどうなのでしょうか。
西田有佑氏による大阪の里山の例では、はやにえの消費量は寒くなるにつれて少し
ずつ増えていき、1月に消費量がピークに達していたことから、冬の保存食として
機能していたことが分かります。
次に食べ残したエサの保存ですが、一口で食べられるようなはやにえもあることから、
主たる目的ではなさそうです(食べ残しをはやにえにすることは観察されています)
更に、はやにえが本能によるものなら1年中同じように作られても良さそうですが、
オスのモズが作るはやにえは、繁殖期と非繁殖期では異なっているようです。
繁殖期のはやにえは、見通しの悪い場所に作ってメスの盗み食いを防いでいる可能性
があり、非繁殖期では見晴らしの良い場所といった具合です。
繁殖期のオスは、その鳴き声(歌)によってメスに自身の存在をアピールし、繁殖に
結びつかせる必要があります。
はやにえをたくさん食べたオスの歌唱速度は速くなり(早口で歌える)、メスにモテる
ことが分かりました。
それぞれの説も間違いではなさそうですが、オスのモズにとってのはやにえは、自身
の子孫(遺伝子)を残すためのものかも知れません。