明治38年(1905年)に、奈良県小川村の鷲家口(わしかぐち:現在の東吉野村)で
捕獲された若い雄の個体が、国内最後に確認されたニホンオオカミとされており、
その毛皮は現在、イギリスのロンドン自然史博物館に保管されています。
日本国内にも、国立科学博物館・東京大学・和歌山大学に保管されている3個体しか
ありません。
環境省によれば、「過去50年間に生存の確認がなされない場合、その種は絶滅した」
とされることから、ニホンオオカミは1905年に絶滅した?とされています。
その一方で、1910年に福井県の農業試験場で捕獲された野生動物(下写真)が、最後
のニホンオオカミだとする報告もあります。
その動物は剥製で保存されていましたが、先の大戦で消失したため、DNA検査など
の科学的な調査は行われていません(残念!)
ところで先日、山梨大学や国立科学博物館などの研究グループが、DNA解析に基づく
新説を発表しました。
それによると、ニホンオオカミは大昔に大陸から巨大オオカミ(化石:下写真)が
日本列島に入り、その後、大陸から入ったオオカミ(ニホンオオカミの先祖と大陸に
残った巨大オオカミの血を受け継ぐオオカミ)が交雑して日本列島で生まれたという
ものです。
日本におけるオオカミの語源は「大神(おおがみ)」で、文字通り大きな神様です。
なぜなら、農作物を食い荒らす動物(シカ・イノシシなど)を食べてくれる農耕の
守り神だったからです。
そんなオオカミたちも、江戸時代(享保期)に流行した狂犬病によって、人間に死を
もたらす恐ろしい動物とされ、また明治以降に入ってきた寓話「赤ずきんちゃん」に
よって、人を襲う動物というイメージも広がり、必要以上に駆除されました。
他にも、西洋犬の輸入に伴いジステンパーなどの感染症が流行したため、絶滅に拍車
がかかりました。
イノシシ・シカだけでも、年間100億円ほどの農業被害があるわけですから、昔の
ようにオオカミがいれば、被害も減らせるのですが、、、。
キツネはウサギや野ネズミなどの小動物を食べてくれますから、五穀豊穣がご利益の
お稲荷さん(稲荷神)のお使いとして、稲荷神社に祀られました。
さて、絶滅したとされるニホンオオカミですが、秩父野犬(下写真)などの目撃情報
や遠吠えを聞いたという話は後を絶ちません。
いずれも、科学的証明がなされていないので何とも言えませんが、オオカミ好きの者
としては、生き残っていて欲しいものです。
ところで、電話やメールなどの通信手段のなかった時代には、山の上などで「のろし」
を上げて情報伝達を行っていました。
のろしは漢字表記では「狼煙」と書きます。
オオカミの糞には、獲物となった動物の体毛・羽毛が消化されずに残っているので、
それを燃やして合図にしたことから、狼煙という漢字になったようです。
そもそも、なぜオオカミの糞なのでしょうか?
中国の言い伝えによると、オオカミの糞は燃やすと煙が垂直に上がるからだとか。