今年9月、岐阜県で平成4年以来26年ぶりとなる豚コレラが発生しました。
豚コレラは豚コレラウイルスの感染によって発症する豚やイノシシの伝染病で、致死率も
高く豚では最も恐ろしい伝染病の一つです。
なお豚コレラは人に感染することはなく、人のコレラ※とは別の病気です。
※人のコレラ:コレラ菌(Vibrio cholerae)の感染によって起こる伝染病
豚コレラの発生した農場では、家畜伝染病予防法に基づき飼育しているすべての豚が殺処分
の対象になるので、農家の経済的損失も大きくなります。
現在、世界的に見ても豚コレラの発生していない国(清浄国)は少なく、北欧や北米のほか、
オーストラリアなどの限られた国々だけです。
日本では、豚コレラワクチンの接種によって清浄化を図ってきましたが、平成5年以降新たな
発生がなかったため、ワクチン接種に頼らない(する必要のない)本来の清浄国を目指して、
ワクチン接種を減らしてながら、最終的はワクチンを中止してきた経緯があります。
過去には豚コレラを心配する一部の農家が、ヤミ市場で手に入れた精度※の低い外国産ワク
チンを隠れて使って、問題になった事例もありました。
※日本製豚コレラワクチン:最も精度が高いと言われているワクチンの一つ
今回、岐阜県で発生した豚コレラウイルスは、過去に日本で発生したウイルスと遺伝子型が
異なっていることから、新たに侵入したものと考えられています。
近隣のロシアや中国、韓国、台湾などでも豚コレラの発生が見られますので、外国からの侵入
を防ぐ意味でも、空港や港における人・物流の監視がますます重要になります。
さらに8月には、世界一の養豚大国でもある中国で、アジアで初めてとなるアフリカ豚コレラ
の発生も確認されました。
豚コレラと違ってワクチンもありませんから、もし日本国内に侵入するようなことになれば、
養豚業界に与える影響は、測り知れません。
そんな折、10月下旬には旅行者が持ち込んだソーセージから、アフリカ豚コレラの遺伝子の
陽性反応が出たことが報道されましたので、最新の注意が必要です。