今年の啓蟄は3月5日でした。
啓蟄とは、冬ごもりしていた虫などが、土の中から出てくることを言います。
啓蟄は寒い冬が終わり、動物たちに春が来たことを教えてくれます。
春は動物たちにとって、子孫を残す大事な季節なのです。
春になると、植物や昆虫たちが眠りから覚めるので、それらをエサとしている
動物たちにとっては、子育てに最適の季節となります。
ツバメに代表される夏鳥たちは、繁殖のために日本に渡って来ます。
子育てが終わり、秋になると南方に帰って行きますが、寒さに弱い
からだけではではありません。
エサとなる昆虫たちが、いなくなるからです。
ところで、森昌子のヒット曲に「越冬ツバメ」というのがあります。
日本でも、西日本の一部地域でツバメの越冬が確認されていますが、
日本で繁殖した個体か、シベリアなどから渡って来た個体かは、
分かっていません(ヒュウルリー~ヒュウルリララ~)
春から初夏に出産するニホンザルやニホンジカでは、繁殖期は前年の秋になります。
春から初夏に交尾し、冬ごもり中に出産するクマでは、メスグマの栄養状態によって
妊娠・出産が左右※され、栄養状態の悪いメスは出産しません。
ですから冬ごもり中、多くのメスの穴の中で子どもが生まれていれば、クマたちの
暮らす山の豊かさが分かります。
繁殖期間中、メスには複数回の発情期間があり、複数のオスと交尾
していると考えられています。
そのため2月頃に生まれる2頭の父親は、別々な可能性もあります。
食物連鎖の上位にいるクマたちは、自然とのバランス・協調の中で
のみ、種を残そうとしているのです。
秋に交尾し冬眠するコウモリなどでは、冬眠中は胚の発育が止まり、冬眠
から覚めると、胚は再び発育を始めます。
※哺乳類に見られる生理現象で、「着床遅延」と言います。