正当な教育を受けていないという理由から、晩年まで国内で
さえ評価されることはありませんでした。
その後、弟子たちの発案で「ファーブルの日」が設けられ、
昆虫記はノーベル文学賞候補にもノミネートされるほどの、大ベストセラーになりました。
ファーブルは生前、「こんな研究をしていいのか。何の役に立つのか」と自問自答してい
ます。
世の中に無駄な研究などありません。
興味があるかないかだけの違いです。
太平洋戦争(第二次世界大戦)末期、多くの若者たちが南の海を目指して
飛び立ちました。
彼らのリュックの中には、万葉集と並んでファーブルの昆虫記があったそうです。
なぜ「昆虫記」だったのか、私にはわかりません。
少年時代、飽きるほど野山を駆け回り、セミやトンボ・カブトムシ
などを追いかけていた頃が、人生の中で唯一の純粋で楽しい想い出
だったからかも知れません。
ファーブル自身も疑った研究でしたが、遠く離れた日本の若者たちが、見事に命がけで
証明して見せたのです。