2年前、コウモリから狂犬病に感染して死亡した少年の事例が今年、カナダ医師会誌に報告され
たとのこと。
少年(11歳)は家族でコテージに滞在していましたが、就寝中、鼻や口の周りにコウモリがいた
ことで目を覚まし、コウモリを払いのけたそうです。
その後コウモリは、父親が捕まえて外に逃がしました。
少年に目立った外傷もなかったことから、両親はすぐに病院を受診させませんでしたが、コウ
モリの体液が目や鼻の粘膜、口、傷口などから入った可能性があります。
19日後、少年の顔に痺れや腫れが出始めたため受診すると、「ベル麻痺」の可能性が疑われ、
抗ウイルス薬が処方されました。
ベル麻痺とは突然、顔の片側の筋肉が一時的に麻痺する病気で、末梢性顔面神経麻痺の約70
%を占め、ヘルペスウイルスの再活性化が原因と考えられています(下図)
3日後、少年はオンタリオ州の救急病院を受診し、両親もコウモリの話もしたものの、そこで
もヘルペス性の歯肉口内炎と診断され、その日は帰宅しています。
翌日も同病院を受診していますが、待合室で錯乱や幻視など症状の悪化がみられたことから、
集中治療室へ入院しました。
その後の検査で、コウモリ由来の狂犬病ウイルスの変異株が特定されましたが、入院から17日
後、少年は亡くなりました。
人では、一度発症してしまうと確立した治療法はなく、最終的に昏睡状態から呼吸が麻痺して
死に至ります。
WHOの2024年の報告によると、アフリカやアジアを中心に世界150か国で深刻な脅威となって
おり、年間数万人が死亡していますが、まだまだ犬のワクチンの接種率も低いままです。
これらの国々では、野犬や放浪犬(下写真)対策のほか、飼い犬の登録やワクチン接種制度の
確立など、多くの課題が取り残されているのです。
人の症例の99%はイヌからの感染になりますが、北米・南米ではコウモリが主な感染源となり、
カナダでは他にスカンクやキツネも狂犬病ウイルスを媒介すると考えられています。






