厚労省の発表によると、2024年の子ども(小中高)の自殺者数は527人で、統計を取り
始めた1980年以降、過去最多だったそうです。
自殺はヒト特有の行動で、動物の中で唯一ヒトだけが「社会的認知能力」を持ち、他人
から自分が「どう思われているか」を考慮に入れる生物だと言われています。
動物が自殺したような例が紹介されることもありますが、動物には「自ら命を絶つ」
という明確な意思は存在しないとのこと。
さて皆さんは、レミング(下写真)という小型の動物を知っていますか?
なぜかレミングには、集団で自殺するという言い伝えがありました。
レミングはシベリアやスカンジナビア半島、北米のツンドラ地帯に生息するネズミの
仲間です。
夜行性で、地下や雪の下にトンネルを掘って生活し、冬眠することはありません。
レミングは主に草や苔などを食べ、年に数回繁殖(平均7.3頭出産)しますが、周期的
に個体数が増減することでも有名です。
気候変化によるエサ不足、天敵のシロフクロウ(下写真)やホッキョクギツネなどに
よる捕食で個体数が激減、それによって捕食者も減少すると今度は個体数が激増する
という具合です。
大発生の時(下図)にはエサを求めて集団で移動し、泳ぎも得意なことから川や湖にも
進んで入り、結果、溺れて死んでしまう個体もいます。
でもこれは自殺でななく、事故なのです。
レミングが集団自殺するという言い伝えは、1958年にディズニーが制作した映画が
原因と言われています(下写真)
「白い荒野」という映画では、レミングが海に飛び込み自殺するかのような様子が収録
されているそうです(私は見たことがないので)
しかし実際は、集めたレミングを崖から意図的に海に飛び込ませていたのです。
1980年、カナダのテレビプロデューサがレミングの生態調査を実施するまで、全く
公にならなかったそうですから、何とも情けない話です。