今年の干支はヘビです。
ヘビの舌は細長く、先が舌が2つに分かれ(下写真)ています。
ヘビは舌を常に出し入れしますので、それが気持ち悪いという方もいるかと思います。
でも舌の出し入れは、ヘビにとっては生きるために必要な行為なのです。
ヘビはヤコブソン器官(下写真)という嗅覚器官を上あごに持っており、空気中の匂い
成分を舌で集めて、ヤコブソン器官に送っています。
なおヤコブソン器官は四肢動物が持つ嗅覚器ですが、爬虫類のヘビやトカゲでは非常に
発達しています(カメやワニでは退化)
ヘビが左右の舌で感じる僅かな違いは、周囲を認識するのに役立っているのです。
また、下アゴの骨が左右に分かれているので大きな獲物を飲み込むことができ、さらに
気管と食道が分かれているので、大きな獲物を飲み込んでも呼吸ができます。
世界には3,000種ほどのヘビがいると言われており、その内の15%ほどが毒を持つヘビ
と言われています。
毒には「出血毒」・「神経毒」などがあります。
出血毒は消化液が変化したもので、咬まれた動物は血管が破壊され、血液凝固が起きると
血液循環ができなくなります。
さらに出血が起きると(凝固因子を使い果たした結果)、今度は血液が固まらなくなり組織
が破壊され、後遺症が残ることもあります。
最悪の場合は多臓器不全を起こし、死亡します。
マムシ(下写真)やハブなど、クサリヘビ科の毒ヘビは、出血毒を持っています。
神経毒は神経伝達をかく乱し、骨格筋の活動停止を起こします。
神経毒作用が発現すれば改善は困難で、無治療の場合は横隔膜が麻痺することで呼吸
困難となり、死亡します。
コブラ(下写真)など、コブラ科のヘビは神経毒を持っています。
さて、皆さんは日本に生息しているヘビの中で、一番強い毒を持っているヘビは何だと
思いますか?
ハブではありませんよ。ヤマカガシというヘビ(下写真)です。
本州・四国・九州に生息する色彩鮮やかなヘビで、赤・黄・黒の斑紋があります。
体長60~120cmほどで、カエルを主食にしています。
毒は2種類で主に出血毒ですが、ステロイド系の毒も持っています。
毒は牙と背中の毒腺から出ますが、牙は口の奥にあるため、深く咬まれないと毒は注入
されません。
そのため以前は、無毒のヘビと考えられていました。
またヤマカガシは、背面の皮下に頸腺という器官を持つことで、身を守っています。
頸腺の毒はヤマカガシ自身が合成するのではなく、エサのヒキガエル(下写真)の耳腺
にある毒を吸収して蓄積されたものになります。