今月、香港で最も古い香港動植物園(下写真)で、類鼻疽菌(るいびそきん)による感染症
が発生しました。
報道によれば、今月22日までに飼われているサル12匹が死亡し、解剖の結果、臓器から
大量の類鼻疽菌が検出されたとのこと。
死亡したサルはブラッザモンキーやワタボウシタマリン、シロガオサキ(右写真)など
の希少なサルたちです。
類鼻疽菌は土壌や水中など環境中に存在し、流行地(東南アジア・オーストラリア北部など)
では台風やモンスーン、雨季の後などに流行することがあるそうです。
香港動植物園では10月上旬に土壌の掘削工事が行われ、土壌中の類鼻疽菌が作業員のクツ
に付いて拡散したと考えられています。
類鼻疽は人獣共通感染症で動物から人、人から人への感染は多くないもののゼロではなく、
ごく稀にあると言われています。
日本でも戦後、10例ほどの報告があるようですが、いずれも流行地域への渡航歴がある
輸入感染症で、日本国内に類鼻疽菌は存在しないと言われています。
ところで、類鼻疽という病名を初めて知った方もいると思います。
そもそも類鼻疽とは、「鼻疽」に類似しているという意味です。
その鼻疽とは、鼻疽菌の感染によって発症するウマやロバの病気(下写真)で、馬から人
にも感染する人獣共通感染症ですが、現在のところ日本での発生はありません。
日本では戦前に、中国から持ち帰った馬の発生があるようですが、近年は鼻疽の発生
はありません。
世界では、中近東やアフリカ、アジアなどで発生があるようです。