先月、名古屋市の東山動植物園(下写真)にコモドドラゴン(コモドオオトカゲ)が
来園しました。
このコモドドラゴンはシンガポール動物園生まれのオス11歳(下写真)で、名前はタロウ
と言います。
何となく日本の名前に似ていますが、実はタロウの母親は上野動物園で飼われていた
ヨーコで、08年4月に繁殖目的でシンガポール動物園に貸し出されていたのです。
ブリーディングローン(動物の貸し借り契約)では、生まれた子どもの半数は上野動物園
に所有権がありますから、動物園側が求めれば上野に送られるはずです。
しかしながら、上野動物園には飼育スペースがありませんでした。
そのため、以前から飼育を希望していた東山動植物で飼われることになったようです。
ところで、コモドドラゴンが毒を持っていることは今年1月の投稿でお知らせしました
が、さらに興味深い事実が判明しました。
多くの研究者たちは、コモドドラゴンがどんなに不潔な環境にいても、また酷い外傷を
負っても、感染症を起こさないことが不思議でならなかったのです。
アメリカのジョージ.メイソン大学(下写真)の研究によれば、コモドドラゴンの血液
から単離した物質に、強力な抗菌作用のあることが分かりました。
それを基に作られたものがDRGN-1で、皮膚を傷つけたマウスの実験では細菌の破壊
と傷口の治癒促進が確認されました。
世界では1980年以降、従来の抗生物質が効かない薬剤耐性を持つ細菌が増えています。
その結果、感染症の予防や治療が困難になるケースが増え、今まで回復できた感染症が
重症化したり、さらには死に至る確率も高くなっています。
このままの状況が続けば、2050年には世界中の死因のトップになるとも考えられてい
ます。
さらに研究が進めば、DRGN-1は薬剤耐性菌(下図)問題について、解決の糸口になる
かも知れません。