今年の夏、パリでは3回目となるオリンピックが開催され、日本は海外のオリンピック
としては過去最多となる20個の金メダルを獲得しました。
金メダル第1号は柔道女子48Kg級の角田夏美選手(下写真)で、得意技は巴投げです。
巴(ともえ)とは、日本の伝統的文様の一つで水が渦を巻いたようにも見え、柔道の技が
これに似ていることから、嘉納治五郎が命名(巴投げ)したと言われています。
ともえ繋がりですが、皆さんはトモエガモ(下写真)という鳥をご存知でしょうか。
繁殖期になると、オスの顔に黒・淡い黄色・緑・白色の巴状の斑紋ができることから、
この和名が付きました。
日本では冬鳥として飛来しますが、数は少ないようです。
ところで今回のパリオリンピックでは、セーヌ川(下写真)の水質が問題になりました。
セーヌ川は1923年から遊泳禁止となっており、パリ市民は「ドブ川」と呼ぶとか。
水中の大腸菌数値は、大阪の道頓堀の約6倍とも言われていますから、かなり汚染して
いるのは間違いなさそうです。
こんな川でトライアスロン競技をさせるわけですから、とてもアスリートファースト
とは思えません。
参加するアスリートの健康よりも、セーヌ川を競技会場にしたいという組織委員会の
面子の方が大事だったようです(ありそうな話です)
また大腸菌だけではなく、レプトスピラ菌(下図)の感染も危惧されています。
パリの下水道システムは、汚水と雨水が同じ管に入る合流式ですから、大雨が降ると
汚水がセーヌ川に流れてしまいます。
レプトスピラ症はレプトスピラ属の細菌によって発症する急性熱性疾患で、軽症から
時に重症(ワイル病)となる人獣共通感染症(肝障害や急性腎不全など)で、イヌにも
感染します。
ですからイヌの7種混合ワクチンにはレプトスピラ2種類の血清型が、10種混合ワクチン
には4種類の血清型が含まれています。
ただし、イヌに病原性のある血清型は8^10種あるとも言われていますので、ワクチンを
しているからといって安心はできません。
ネズミとの関係の深いネコは、どうなのでしょうか。
現在、ネコの混合ワクチンにレプトスピラはなく、一説によれば感染しても急性腎不全は
起こさないという話もあります。
勝手な想像ですが、ネズミとの長い関わりの中でレプトスピラに耐性があり、急性腎不全
を起こさないネコだけが生き残ってきたとも考えられます。
この細菌(下写真)を腎臓に保菌しているドブネズミなどの尿が川に流れ、その水に
接触(経皮)又は飲む(経口)ことによって、感染します。
5~14日間の潜伏期間がありますから、新たな感染者が出ないことを祈るだけです。