環境省は6月28日、野生のオスの精液を用いたニホンライチョウの人工繁殖に成功
(下写真)したと発表しました。
精液は乗鞍岳に生息するオスから採取された後、富山市ファミリーパークに運ばれ、
飼育されているメス5羽に人工授精(下写真)されました。
ニホンライチョウの人工授精による繁殖は、上野動物園でも成功していますが、
野生のオスの精液を用いた人工繁殖は、今回が初めてです。
日本に生息するライチョウ(下写真)は、世界に分布するライチョウ23亜種の中
では最も南に生息する亜種(南限)で、国の特別天然記念物にも指定されています。
なお亜種の種類については、諸説あるようです。
ニホンライチョウは、日本列島が大陸と地続きだった頃(最終氷期)に移り住み、
その後の温暖化によって高山地帯に取り残された氷河期の遺存種で、絶滅が心配
されています。
日本では北アルプスや南アルプス、乗鞍岳(下写真)などの標高2,200m~2,400m
以上の高山で繁殖し、高山植物の花や芽、葉、種子などのほか、昆虫なども食べる
ようです。
またオスには、目の上に赤いトサカがあります(下写真)
高山に暮らすライチョウたちも、地球温暖化の影響を受けています。
雪の減少でシカやサル(下写真)たちのほか、キツネまでも高地まで登って来る
ようになり、ライチョウの生息環境を荒らしています。
我々人間がもたらした地球温暖化ですが、動物たちにはどうすることもできません。
ただただ耐えながら命を繋ぎ、やがて静かに消えていくのです。