先月、石川県津幡町にある大滝観光流しそうめん(下写真)で、カンピロバクター
による集団食中毒が発生しました。
食事をした利用者からの下痢や腹痛、発熱などの相談を受け、保健所が検査した
ところ、流しそうめんに使う湧き水から、カンピロバクターが検出されました。
恐らく、カンピロバクターに汚染した水が大雨によって湧き水に流れ込んだこと
と、塩素投与装置の不具合が原因と思われます。
報道によると、食中毒発生直後は複数人が入院したものの、現在では全員が回復
しているとのことです。
カンピロバクター(下写真)は乾燥には弱いものの、湿潤な環境では長時間生存し、
他の地域でも塩素消毒不足から簡易水道や井戸水、湧き水による食中毒が発生して
います。
津幡町では今年7月、線状降水帯発生による大雨で土砂崩れなど大きな被害があり、
大滝観光流しそうめんでも塩素投与装置が壊れました。
営業開始に間に合うよう補修もしたようですが、事前の水質検査はしていなかった
そうですから、利用者の安心・安全よりも営業再開を優先した?こと(リスク管理)
が今後、問題になりそうです。
そもそも年1回以上の水質検査の時期は定められておらず、結果としていつでも良い
ことになっているというのも、おかしな話です。
カンピロバクターはニワトリや牛、豚などのほか、野生動物の腸管にも生息しており、
加熱不十分な肉や汚染された水から感染します(加熱は75℃以上で1分間以上)
またイヌやネコが保菌していることがあり、ペットに触れた後の手洗いが不十分な
場合は、感染の可能性があります。
治療は水分補給や整腸剤、解熱剤などの投与で、重症化しなければ抗生剤を使う
ことはありません。
時にカンピロバクターの感染後、自身の抗体によって筋肉を動かす運動神経が攻撃
され、手足に力が入らない自己免疫性末しょう神経疾患(ギランバレー症候群)を
引き起こすこともありますので、十分気を付けましょう。