アメリカのコロンビア大学などのチームは、人や動物の体内にある「タウリン」は
加齢とともに減少するが、中年期の動物に毎日摂取させると長生きし健康的になる
との研究結果を発表しました。
マウスでは28か月以上生存する個体が増え、骨密度・筋力が増加、アカゲザルでは
骨密度・骨量が増加し、血糖値の低下や肝機能が改善したそうです。
また、人間の45歳前後に相当するマウスに毎日1回タウリンの溶液を与え、若い
マウスと同等の血中濃度にすると、寿命が10~12%(人間の7~8年分に相当)増え
たそうです。
人に対する効果は不明ですが、欧州の中高年約12,000人を対象にしたデータでは、
血中のタウリン濃度が高い人は肥満や糖尿病が少なかったそうですから、今後、
臨床試験をする価値はありそうです。
タウリンは魚の他、貝類・イカ・タコなどの軟体動物に多く含まれており、人では
体重の0.1%ほどの量がさまざまな臓器(心臓・肝臓・肺・脳・骨髄など)の活動と
関わっていることから、生命維持に必要な成分と考えられていましたが、老化との
関係は良く分かっていませんでした。
さらにタウリンは母乳にも含まれており、赤ちゃんの脳や網膜の発育にも関わって
いるようです。
人やイヌはタウリンを体内で合成することができますが、ネコは体内で合成する
ことができません(人では合成できるものの、必要量には足らないとか)
元来ネコは肉食であり、エサとする肉や魚にはタウリンが多く含まれているので、
わざわざ体内で合成する必要がなかったのです。
今から30年以上前、原因不明の心臓病で死亡するネコが多発しました。
そこで、海外の大学で原因を調査したところ、与えていたエサに十分なタウリン
が含まれていないことが分かりました。
それからキャットフードには、必ずタウリンを添加することになったのです。
今年5月、WHOが発表した世界保健統計によると、男女合わせた平均寿命の最も
長い国が日本でした。
四方を海で囲まれた日本では、昔から魚介類やイカ・タコなどを食べてきました
から、知らず知らずの間に長寿の遺伝子を獲得していたのかも知れません。
これからは、高齢になればなるほど和食中心の食事が良さそうです。