今やウサギは、犬や猫に次いで第三のペットの地位を確立しました。
ウサギをペットとして飼われている方は、ウサギが自分の便(盲腸便)をお尻
から食べることに、驚いたこともあるのではないでしょうか。
ウサギはコロコロした通常便の他に、粘液で包まれたブドウの房状の盲腸便
(下写真)をします。
盲腸便は夜間に排泄されることが多く、すぐに食べられる(飲み込む)ため、
飼い主の方は気が付かないかも知れませんが、タンパク質やビタミンなどを
含む栄養価の高いものです。
ウサギは他の草食動物と同じように、消化が難しく栄養価が高くない草などの
栄養分を微生物の力を借りて発酵させて、吸収しています。
植物繊維の主成分であるセルロースを分解するには、セルラーゼという消化
酵素が必要になりますが、哺乳類や鳥類は持っていません。
そこで牛などの反芻動物は第一胃で、馬は大腸で、ウサギは盲腸で微生物に
よる発酵を行っています。
ただ、盲腸を含むウサギの大腸は短く、小腸ほど吸収する力もないため、
ほとんどが便として排泄されてしまいます。
そのため、盲腸便を食べる必要があるのです。
ウサギは、感覚的に盲腸便が出ることが分かるらしく、盲腸便を食べないと
栄養不足になってしまい、免疫力も低下して死亡することもあります。
牧草やペレットの量が多いと、ウサギは盲腸便を食べなくなります。
その時は、食事内容の見直しをお願いします。
盲腸便を食べるのは、ノウサギでもナキウサギでも、アマミノクロウサギでも
同じです。
最近ではウサギ用のエサも改良され、盲腸便を食べないウサギもいるという話
も聞きます。
ウサギ本来の生理・生態を変えるような飼い方は、ウサギにとって幸せなこと
なのでしょうか。