今年は、上野動物園にジャイアントパンダが来園して50周年になります。
1972年9月、当時の田中首相が中国を訪問し、周恩来首相との会談によって日中国交
正常化への道が開かれました。
これを記念し、翌10月には中国からジャイアントパンダ2頭が、日本政府に贈られる
ことになったのです。(オスのカンカンとメスのランラン)
これがきっかけとなり、第1次パンダブームが起きることになります。
自然交配が難しいジャイアントパンダですが、2頭は相性も良く、3度の自然交配も
確認されたことから繁殖の期待が高まりました。
しかしながら1979年9月にランランが死亡し、1980年6月にはカンカンも死亡して
しまい、赤ちゃんパンダが誕生することはありませんでした。
死因はランランが急性腎不全、カンカンが心不全と発表されています。
その後、オスのフェイフェイとメスのホアンホアンが来園し、人工授精によって3頭
の赤ちゃんパンダが生まれました。
さて、ジャイアントパンダの繁殖期は年に1度(2~5月)しかなく、メスの妊娠する
可能性のある時期は、わずか数日間しかありませんから、交配のタイミングがとても
難しいのです。
またジャイアントパンダは、異性に対する選り好みが激しいこと、自然交配できる
オスが少ないのも問題になっています。
ジャイアントパンダの主食はタケやササ・タケノコなどですが、野生では稀に昆虫
やネズミなども食べるようです。
ただ数百万年もの間、タケやササなどを食べてきたにも関わらず、肉食動物のよう
な消化管のため(ウマの腸は約30m、ジャイアントパンダ約6m)、1日に10kg以上
のタケやササを食べても、消化できるのは20%にも満たない量です。
そのため、長時間眠ることでエネルギーを節約しています。
動物園ではタケやササのほか、トウモロコシの粉で作った団子やミルクがゆ、果物
のリンゴやカキ、蒸かしたサツマイモなども与えています。