今年の(夏の)土用の丑の日は、7月23日と8月4日です。
そもそも土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の直前18日間のことで、年4回あります
が、現在では夏の土用の丑の日が有名です。
日本では、約5,000年前の縄文時代の遺跡から「うなぎの骨」が見つかっています
ので、昔から食べられていたようですが、うなぎの栄養価について知られるように
なったのは、奈良時代になってからです。
万葉集の中に、大伴家持の「うなぎの歌」があるくらいですから。
「石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに 吉しといふ物ぞ 武奈伎(うなぎ)とり食せ」
一般の人がうなぎを食べるようになったのは江戸時代で、最も人気の高い料理の一つ
でした。
また、うなぎにかける粉山椒は胃酸の働きを活発にし、血液をきれいにする解毒作用も
あるそうですから、理にかなっています。
うなぎは栄養の宝庫で、ビタミンA・B1・D・Eのほか、不飽和脂肪酸のDHA・EPA、
ミネラル、コラーゲンなども含まれています。
ところでうなぎの血清は有毒(イクシオトキシン)で、目に入ったりすると結膜炎を
起こすことがあります。
ただ熱に弱いため、煮たり焼いたりすると毒性はなくなります。
うなぎは絶滅危惧種で謎の多い魚ですが、日本人の食文化を守る意味でも、うなぎ
の完全養殖技術は欠かせません。
先ずは、ふ化したうなぎの赤ちゃんが何を食べているのかを解明する必要があります。
鹿児島大学水産学部では、ハモやアナゴなどの「うなぎ目」の魚の赤ちゃんに注目し、
その消化管内のDNA解析から、動物プランクトンの糞を主なエサとしている可能性を
発見したとのことです。
さらに東京大学や北海道大学の最新研究によると、青森県が北限とされていたニホン
ウナギの幼魚が、北海道の川で見つかっています。
生息地が広がることは日本人として喜ばしいことですが、これも地球温暖化の影響
によるものだとすれば、喜んでばかりもいられません。