今日5月17日は、世界高血圧連盟が2005年に制定した「世界高血圧デー」となっています。
日本でも世界高血圧デーに準じて、2007年に日本高血圧学会と日本高血圧協会が5月17日を
「高血圧の日」として制定しました。
私たちの心臓は、血液を通して体中の組織・細胞に十分な酸素を送らなければなりません
ので、血管に対しても、ある程度の圧力はかかっています。
その圧力(血圧)が高くなりすぎた状態が、高血圧です。
国内の基準では、最大血圧140mmHg以上・最小血圧90mmHg以上が高血圧症と診断され、
日本国内だけでも約4,000万人いるとされます。
一方で自覚症状がないため、実際に治療を受けているのは800万人(2割)ほどと言われて
います。
発症の多くは遺伝的な素因と生活習慣の偏りが原因となり、高血圧の状態が続くことで
血管内壁が傷つき、動脈硬化から狭心症・心筋梗塞・脳出血など、様々な病気を引き起こ
す要因となります。
ところで、”キリン“は高血圧の動物として有名ですが、決して病気ではなく、心臓からの
頭の高さが関係しています。
(最大血圧:260mmHg、最小血圧: 160mmHg)
キリンは、頭(脳)に十分な血液を送り込むため高血圧が必要であり、生きるために必要な
自然の摂理です。
またキリンの頭は地上から5mくらいの高さがあり、水を飲む時などは血圧が一気に上昇し
ますので、それを防ぐための緩衝装置を持っています。
キリンの後頭部には、”ワンダーネット“と呼ばれる網目状の特殊な毛細血管があり、血圧の
急激な変化に対応しているのです。
他にも、中国の研究グループがロスチャイルドキリンの遺伝子情報をゲノム解析したとこ
ろ、心血管に関係すると見られる特有の遺伝子を発見したそうです。
私は動物公園勤務時代、立てなくなったキリンの頚静脈から輸液したことがあります。
他の動物では、首から上にボトルを上げると重力によって溶液は血管内に入っていきますが、
すぐにキリンの血液がボトルに逆流してきました。
キリンの血圧が高いことは知っていたものの、目の当たりにした時は驚きました。
因みにシチメンチョウは、動物の中では最も高血圧で、最大血圧は300~400mmHg、最小
血圧は 200mmHgと言われています。
鳥類は体の割に心臓が大きいことから、血圧が高いと考えられています。