第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)が、スペインのマドリードで開催され
ています。
会議では、温室効果ガス削減目標の引き上げや地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の
詳細ルールを巡って各国の意見が対立し、パリ協定のルールについては、来年に先送りされ
ました。
環境問題に後ろ向きなリーダーも多い中、わずか16歳のグレタ.トゥンーベリさんの言葉の方
が、よっぽどこころに響きます。
地球環境問題は、人類だけの話ではありません。
地球上に暮らす、多くの動物たちの問題でもあるのです。
国際自然保護連合(IUCN)の評価により、絶滅危惧種に指定された動物たちもたくさん
います。
※国際自然保護連合:1948年に創設され、本部はスイスのグランにあります。
特にCR(絶滅危惧IA)に分類された動物たちは、「近い将来、野生で絶滅する可能性が極め
て高い種」となっており、ソデグロヅル(写真:年神浩正氏)も、その一つです。
ツルの中には、ソデグロヅルよりも遥かに生息数の少ないアメリカシロヅル(下写真)も
いますが、アメリカ政府が保護・繁殖に力を入れているので、CRよりも1ランク下に分類
され、繁殖個体の野生復帰も行われています。
動物園などの人工的な環境であっても、絶滅危惧種を繁殖させることは、とても大切なこと
です。
ただ、ソデグロヅルの人工繁殖(人工授精)に関わった者として、繁殖個体が動物園だけで
生涯を終えるのは、残念でなりません。
お金も時間も掛かりますが、動物たちが本来の生息地で安心して暮らせるような、そんな
地球環境になって欲しいと願うばかりです。
動物愛護精神が社会的な価値として認知・評価される国なら、アメリカシロヅルのように
保護・繁殖・野生復帰も可能だと思いますが、ソデグロヅルの現状は厳しいものです。
何と言っても、最大の越冬地である中国のポーヤン湖の環境が悪すぎます。
最近はポーヤン湖ではなく、中国東北部の別な自然保護区で越冬しているようなので、ツル
たちも環境悪化を感じているのでしょう。
徳川吉宗の時代に行われた諸国産物帳調査によれば、ソデグロヅルと思われるツルが日本
各地で越冬していたようです。
今後、鹿児島県の出水平野が、新たな越冬地の一つになって欲しいのですが。