今年の話題から Ⅲ ラグビー日本代表

2019年ラグビーワールドカップ日本大会は、南アフリカの優勝(3回目)で幕を閉じました。

中でも日本代表は、1次リーグ4戦全勝という素晴らしい成績を残し、初の決勝トーナメント

進出(ベスト8)を果たすとともに、日本中に勇気と感動を与えました。

 

 

 

 

 

日本代表の中には、多くの外国出身選手もいましたが、中でもキャプテンのリーチ.マイケル

選手のリーダーシップは見事でした。

 

 

 

 

 

リーチ選手は交換留学生として、北海道の札幌山の手高校に入学しました。


 

 

 

 

入学から1年経った頃、リーチ選手の実家火災に合って、家族はすべてを失いました。

ラグビー部の監督も帰国するよう促しましたが、「家族全員が無事なら十分」と、帰国する

ことはありませんでした。

監督は学校関係者や保護者など、リーチ選手に内緒で募金を集め、約70万円を実家の母親

送ったそうです。

もちろん、リーチ選手には伝えずに。

 

そのことを後で知ったリーチ選手には、ある覚悟が芽生えたといいます。

「日本に来てたった1年の自分に、なぜここまでしてくれるのか」

「自分にはラグビーでしか恩返しができない

日本と仲間のためだったら、何でもやる」と。

 

 

 

 

 

ラグビーの言葉に、次のようなものがあります。

有名な言葉なので、皆さんも良くご存じだと思います。

One  for  all , All  for  one」 

一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために!

ラガーマンにとっての一つの目的、それはトライです。

日本代表は、その言葉どおりに見事なトライ・活躍を見せてくれました。

 

さて、動物園で働く者たちの一つの目的とは何でしょうか。

 

自ら望んで来たわけでもなく、死なない限り自由になれない動物たちに、それならせめて

この飼育員に世話してもらいたい、この動物園で暮らしたいと思ってもらえるように、彼ら

の生理・生態を理解した上で、最善の飼育・展示をすることです。

 

 

 

 

 

また来園者に対しては、生きた教材として動物たちの素晴らしさ、動物たちを育んできた

自然や環境の素晴らしさを伝え、それらを理解して帰ってもらう(考えるきっかけにして

もらう)のが、一つの最も大切な目的だと考えてきました。

 

飼育員から園長にいたるまで、全職員が同じ目的のために働いているのなら、華奢な体でも

喜んでスクラムを組むことはできたし、‘One Team ‘ にもなれたはずです。

でも振り返れば、一度もスクラムを組むこともなく、One Team になることもありません

でした。

 

 

 

 

 

当時の飼育員は、専門的な知識・技術を必要とされない技能労務職員(現業職)として位置

づけられており、適材適所の人事と言いながら清掃事務所や学校主事、時には交通局からも

バス運転手の人が飼育員になるような信じられない人事が、まかり通っていました。

(もちろん、みんな頑張ってはいましたが)

 

 

 

 

 

また人事異動の結果として、(希望もしない)動物園勤務になっただけの、野生動物には

全く興味のない獣医師もいました。

最も残念だったのは、(自身も含め)職員が憧れるような、目標にするような上司・園長に

出会えなかったことです。

(最初に出会ったM園長は、人間的にも魅力的な園長でしたが)

 

彼らには行政マンとしての側面しかなく、本来、園長に求められる最も大切な資質である

はずの、科学者教育者としての側面はありませんでした。

行政マンですから、当然ながら動物のことより役所の立場を、職員のことより上司の立場

優先する人たちで、中には、出世の妨げになる出来事は、すべて動物たちを悪者にする最低

の園長もいました。

 

最後の5分、20点もの差をつけられて、なお絶対に諦めない態度を示した日本代表の姿は、

最初から最後まで、ラグビーの試合を見たこともない私にとっても、本当に誇らしいもの

でした

 

 

 

 

 

そんな日本代表に比べると、私自身まだまだ努力が足らなかったのかも知れません。

努力する人には神様が、素敵な出会い用意してくれていると信じていながら。

 

日本代表の名フランカーとしても活躍し、現役引退後は京都市の伏見工業高校ラグビー部監督

も務めた山口良治氏の言葉が、今では自分の座右の銘になっています。

(山口氏は、テレビドラマ、スクールウォーズのモデルとも言われています)

 

 

 

 

 

練習がきつくて、ラグビー部を辞めたいという生徒に対しての言葉です。

 

「今耐えれば もっと 素敵な 自分に 逢える!」

 

 

 

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