9月16日は敬老の日でしたが、一方で競馬の日にもなっています。
1954年(昭和29 年)9月16日に、政府が全額出資して日本中央競馬会が発足したのを記念して
競馬の日となりました。
出資を受けた代わりに、日本中央競馬会は馬券の1割と事業利益の5割を国に納付することに
なっているそうです。
さて、レース中に脚を骨折しながら安楽死の処置をせず、成功率数%という手術に挑んだ馬
(テンポイント)について、ご紹介します。
テンポイントの母はワカクモという馬で、ワカクモの母はクモワカという馬です。
クモワカは夏場の休養中に体調不良となり、発熱も見られたことから獣医師の診断を仰いだ
ところ、伝染性貧血の疑いと診断されました。
馬伝染性貧血(伝貧)は家畜伝染病予防法の対象疾病にもなっており、馬では最も恐れられ
ているウイルス性の病気です。
ワクチンはなく治療法も確立されていないことから、淘汰(殺処分)以外、感染拡大を防ぐ
方法は今のところありません。
クモワカは当時、京都で飼育管理されていたので、診断が確定すれば法令に基づき各都道府県
知事が殺処分命令を出すことになっており、実際、京都府知事が命令を出しています。
ところが、その後クモワカは熱も下がり体調も回復し、最終的には獣医師の誤診であったこと
から処分を免れ、その後の裁判で名誉を回復することができたのです。
テンポイントという名の由来は(この世に生まれなかったかも知れない馬が)、せめて新聞に
載るような馬になって欲しいという馬主の願いから付けられました。
現在の新聞活字(ポイント)の最小単位は分かりませんが、馬主は当時の最小の10ポイントから
ヒントを得て、10ポイント(テンポイント)という名前にしたそうです。
さて、テンポイントは骨が皮膚から突き出す「開放骨折」という重症でした。
馬が骨折すると残された3本の脚で全体重(400~500kg)を支えなければならなくなり、脚に
過度の負担がかかります。
そのため、負重性蹄葉炎(ふじゅうせいていようえん)などを発症することが多く、症状が
悪化すると衰弱死やショック死を起こすことがあります。
また蹄葉炎になると、蹄内部の血液循環が阻害されることで炎症が起こり、激しい痛みが発生
します。
テンポイントは歯を食いしばり(バケツに噛みつきながら)、その痛みに耐えたのです。
でも、、、、。