公益社団法人である日本動物園水族館協会(日動水協)は、創立70周年となった09年4月19日
を語呂合わせから、飼育の日としました。
今から数年前、日動水協は上部団体の世界動物園水族館協会(WAZA)から「イルカの追い
込み漁は残酷だ」として、今後も追い込み漁によるイルカの捕獲を続けた場合、会員資格を
停止すると警告されました。
そこで日動水協は、国内の加盟水族館に追い込み漁で捕獲されたイルカの入手を禁ずる決定を
することと引き換えに、WAZAに残留することにしたのです。
その一方で、反発した幾つかの水族館が日動水協を脱退するという出来事もありました。
日本でも欧米のようにイルカの繁殖が上手くいけば、わざわざ野生個体を捕まえることも
ありませんが、現状はとても厳しいものです。
欧米の水族館では、飼育されているイルカの70%くらいは繁殖個体と言われていますから
日本の10%ほどとは比較にならないほどの繁殖実績があります。
その違いは何なのでしょうか(プールの広さ?、曲芸のストレス?)
もちろん、日本でもイルカの子供は生まれていますが、なかなか育たないのが現状です。
陸上の動物なら、母親に代わって人間が育てる(人工保育)こともできますが、イルカは
そうもできません。
ところで、動物愛護精神が成熟している欧米では、ゾウやイルカ・シャチなどの大型で
知能の高い動物の飼育に対しては市民の厳しい目があり、実際、イギリスやスイスなど
では、イルカを飼育している所はないそうです。
そこで欧米の動物園や水族館などでは、種の保存や調査研究、環境教育などの重要課題に
力を入れることで多額の寄付を受け、その豊富な資金を使って、更なる施設の充実を図る
ことができるのです。
令和という新しい時代になっても、日本の動物園や水族館が動物たちを消耗品として扱う
単なるレクリエーション施設に留まるのか、それとも動物たちが主役の未来型教育施設に
生まれ変われるのか、今後も見守りたいと思います。
そのキーポイントになるのは、間違いなく施設を利用する来園者(来館者)の皆様です。