今年10月、鹿児島市内の動物公園で、ホワイトタイガーに襲われ飼育員が亡くなるという
痛ましい事故が起きました。
最初にニュースを聞いた時には「あり得ない事故」が起きたと思いました。
動物の飼育には直接飼育と間接飼育があり、重大な事故(死亡事故など)に繋がる恐れのある
動物たち(猛獣・クマ・ゾウ・チンパンジーなど)の飼育では、飼育員と動物が一緒の部屋に
入らない間接飼育をするのが基本です。
寝室と展示場の間にはキーパー通路があり、通路には寝室側と展示場(運動場)側の2カ所に
扉があります(下図)
動物を展示場に出す場合の手順は、
1 キーパー通路の寝室側扉を開け、動物を通路に移動させる
2 動物が通路に移動したら、寝室側扉を閉める(寝室に戻れないようにする)
3 キーパー通路の展示場側扉を開け、動物を展示場に出す
4 動物が展示場に出たら、展示場側扉を閉める(通路に戻れないようにする)
動物を寝室に入れる場合の手順は、逆になります。
事故当日は絶食日だったようですが、絶食が事故の引き金になったとは考えられません。
それよりも、自分のテリトリーに入って来た侵入者に対する本能的な攻撃だったと考える
のが、自然です。
また全く報道されませんが、当日は「動物公園ふしぎ探検隊」というイベントが行われて
いました。
私も経験がありますが、抽選で選ばれた数十人を普段は入れない動物公園の飼育舎などの
バックヤードに入れて説明をするもので、とても人気のあるイベントです。
亡くなった飼育員もイベント参加者をキーパー通路に入れて、日頃のデモンストレーション
(動物の出し入れなど)をしたと思われます。
推測ですが、いつもとは違うルーティンをしたことが事故のきっかけになったような。
(でも去年も、イベントはあったはずなので)
お恥ずかしい話ですが、私もタヌキやメガネカイマン(下写真)に指を咬まれたり、イグアナ
に近付き過ぎて尻尾で叩かれたこともあります。
中でも一番危なかったのは、ライオンの寝室の扉を閉め忘れたまま、展示場からライオンを
寝室に入れてしまった時です。
老齢の人に慣れたメスライオンでしたが、すぐに気付いてとっさに扉を閉めることができた
ので、今があります。
またメスのオオタカに、顔を掴まれそうになったこともあります。
人に飼われていたものが逃げ出し、衰弱しているところを保護された個体です。
最初は部屋の中に入って掃除もできましたが、卵を産んでから急に性格が攻撃的になり、
ケージの前に立つだけで、網目の間から脚を出すようになりました。
その時も一人だったので、もし顔でも掴まれていたら、とても一人では外すことはできな
かったと思います。
油断大敵です!