日本では動物愛護管理法に基づき、9月20日からの7日間を動物愛護週間と定めています。
動物を「かわいがる」という、人としてのこころの在りようまで、法で定めなければならない
ことに違和感もありますが、そうしなければならない時代・社会になってしまったということ
なのでしょう。
動物公園に勤務していた30代の頃の出来事です。
アジアゾウの飼育場で実習(清掃作業)をしていると、白髪の上品そうな男性と、そのお孫
さんと思われる女の子が目の前を通りかかりました。
男性は、大きな排泄物を一輪車に積んでいた私の姿を見て、愛する孫娘の行く末を案じた
のでしょう。
その子を諭すように(しっかりと聞こえるように)
「〇〇ちゃん~ ~ 勉強しないと あんな仕事をしないといけないんだよ~~」
その言葉は、今でも忘れることはできません。
あの日から25年近くが経った頃、私は三度目の動物公園勤務となっていました。
でも正直、希望したものではなく、むしろ、そうならないことを願っていました。
こころの整理ができない4月4日、その想いを長男にメールしたところ、2日後に返信が来ま
した。
抜粋ですが、
「ちなみに、小さい頃から父親が動物園で働いているのは、俺の自慢でした」
さすがに、この時ばかりは涙が出ました。
さて、本題の動物愛護週間の話に戻ります。
元々はアメリカ動物愛護協会が「動物を愛し、動物と人間の絆を強めること」を目的に、
1915年に制定したのが始まりで、アメリカでは5月の第1日曜日から7日間となっています。
動物愛護の精神が浸透していない国・地域ならともかく、遥かに進んでいるであろう欧米の
国々でさえ、このような活動がなされていることに、驚くばかりです。
欧米では、自分の遺産を動物愛護団体に寄付することも珍しくないわけですから。
ところで、違和感と言えば以前から、ある表現が気になっていました。
流行りなのか、女性職員が増えたからなのか、マスコミ等の取材を受けた動物園・水族館の
職員がよく使う言葉です。
「この子は~〇〇で~」
取材した記者やリポーターの中には、我が子のような表現するスタッフについて、動物に深い
愛情を持った「〇〇さん」と紹介することもあります。
愛玩動物ならともかく、尊厳ある野生動物に対して使うことには違和感があります。
そんなことが深い愛情?なのでしょうか。
それとも素直に言えない・使えない者の僻み?なのでしょうか。
動物公園勤務時代、新聞・テレビ・ラジオなど、多くの取材を受けたものの、一度も使った
ことがなかったものですから。