今年、世界で活躍していた日本人女性アスリートが、立て続けに現役引退を発表しました。
浅田真央選手、宮里藍選手、伊達公子選手などです。
中でも、宮里藍選手は06年から本格的にアメリカツアーに参戦しましたが、数年間は優勝する
ことができませんでした。
専門的なことは分かりませんが、選手生命が危ぶまれるほどのドライバーショットのスランプ
が原因とも言われています。
他にも生活習慣の違いや言葉など、ハンディキャップを乗り越えながら、日本人女性として
アメリカツアー最多の9勝をあげました。
もちろん、その陰には素人にはわからない並々ならぬ努力・精進があったと思いますが、
中でも驚いたのが、宮里選手のあるエピソードです。
自身が克服したドライバーショットについて、同じように悩んでいたライバル選手に直筆で
アドバイスの手紙を送ったというものです。しかも3枚も。
一打違うだけで「天国と地獄」と言われるゴルフ界にあって、しかもライバル選手にも惜しみ
なくアドバイスするなど、普通では考えられません。
同じ悩みを克服した宮里選手ならではの、エピソードです。
そのライバル選手は宮里選手の引退に際し、
「他人のために、これほど時間を割く選手はいない」と感謝の意を述べています。
また別の選手は、「アメリカツアーで最も愛されるべき選手」と称えています。
強さと優しさ、品格に満ち溢れた宮里選手に拍手!
さて、人間に最も近いとされる大型類人猿には、愛される・敬意を払うというような概念
はあるのでしょうか。
その繁殖形態には、大きな違いが見られます。
チンパンジーは乱婚型で、メスは強力なリーダーの目を盗んでは、
複数の♂とも交尾します。
もちろんリーダーは優先的に交尾できますが、生まれた子どもの
何割かは、リーダー以外の♂の子どもだと考えられています。
を持っています。
♂にとっては相手の意思構わずで、強姦型です。
動物園などでは、体の大きい♂が♀の命が危ぶまれるほど追い
かけまわす事例も観察されています。
オランウータンのように力ずくでも良さそうですが、ゴリラの
交尾は信頼関係の延長線上にしかないものです。
ですから♀は、信頼できる♂としか交尾しません。
群れにいるオスの子どもは、父親であるリーダーの立ち振る舞いを学習しながら成長して
いきます。
群れのリーダー(シルバーバック)は♀をはじめ、子どもたちからも信頼され、敬意を
払われています。
ゴリラのリーダーは、私たちが見失った「誰にも負けず勝とうとしない平和主義者」で、
我々人間よりもずっと昔から、「愛される」という生き方をしてきたのです。