今年のノーベル生理学・医学賞は、東京工業大学の大隅良典栄誉教授が受賞しました。
NHKはじめ、多くの新聞・マスコミ等では語呂がいいのか「医学・生理学賞」という呼称で呼んでいますが、正式には「生理学・医学賞」です。
安倍総理も、大隅教授への電話で「生理学・医学賞の受賞」と言っていました。
元々、ノーベルの友人だった生理学者が「生理学・医学賞」という形を提案したと言われており、ノーベルの遺言にも、ちゃんと書いてあるそうですから、間違いありません。
日本人では、1987年にマサチューセッツ工科大学の利根川進博士が、最初の生理学・医学賞を受賞しています。
他にも、北里柴三郎※や野口英世※、山極勝三郎※(やまぎわ かつさぶろう)などが候補になりましたが、残念ながら受賞を逃しています。
※北里柴三郎:
破傷風菌の純粋培養や、その治療法である血清療法を考え出しました。ジフテリアの血清
療法の研究では、ドイツ人の共同研究者のみが受賞しました。
現在であれば、間違いなく受賞したと言われています。
※野口英世:
9回も候補になりながら、第一次世界大戦などの影響もあり、受賞を逃しています。
電子顕微鏡がなかった当時の研究成果の中には、後年、否定されたものもあります。
光学顕微鏡しかなかった時代には、ウイルスを確認することはできませんでした。
※山極勝三郎:
ウサギの耳にコールタールを塗り、世界で初めて人工的にガンを作り出すことに成功
しました。
その年の受賞は胃がんの寄生虫説を発表したライバル候補でしたが、後に寄生虫説は
誤りだったことが判明します。
山極の死から2年後、コールタールから発がん物質が検出されています。
動物関係では、1973年にローレンツ※、ティンバーゲン※、フリッシュ※の三人が受賞して
います。
受賞対象となったのは「個体的および社会的行動様式の組織化と誘発に関する研究」です。
※ローレンツ:特に刷り込み行動
鳥類では、フ化した雛が最初に見た動くものを親と認識する行動で、
自然界では、基本的に親になります。
人に育てられた渡り鳥などでは、越冬地まで飛行機で誘導することも
あります。
「グース」という映画では、飛行機の後を追って、ガンたちが飛んでいます。
※ティンバーゲン:イトヨ(魚)の本能行動
※フリッシュ:ミツバチのコミュニケーション
特に蜜の在りかを仲間に知らせるダンスなどです。
巣に戻った働きバチは体を震わせダンスを行い、蜜源が100m以内なら円形
のダンス、100m以上なら8の字のダンスをして、仲間に場所を知らせます。
蜜源が近いと体を震わすスピードは早くなり、遠くならゆっくりになります。
2002年、ニュートリノ天文学という新たな分野を確立したことにより、小柴昌俊東大名誉教授がノーベル物理学賞を受賞しました。
先生は「自分の好きなことを自分で見つけることが大切」だと、述べられています。
また、人間の記憶力は小学校入学~10代前半までの間が最も働き、記憶に焼きついたことは生涯忘れないので、そんな時期にたくさん勉強しないのは損だと。
10代前半までに多くのことを学び、身につけることがとても大切なようです。
私自身、もはや手遅れなので、昨年生まれた初孫に大いに期待することにします。